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【経済】【クラファン】副作用の少ない“局所投薬デバイス”でがん治療変革を目指すアットドウス、6月25日募集開始

 新たな「投薬」のための技術を開発するアットドウス株式会社(横浜市旭区)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは6月25日19時30分開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:1000万円、上限募集額:9992万円
・ VC出資実績あり
・ 事業会社/CVC出資実績あり
・ エンジェル出資実績あり
・ エンジェル税制あり(優遇措置B)
・ みなし時価総額:10億5200万円
・ 類似上場企業:NANO MRNA <4571> [東証G]、CANBAS <4575> [東証G]、サンバイオ <4592> [東証G]、ステラファーマ <4888> [東証G]、Chordia Therapeutics <190A> [東証G]
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

副作用を大幅に軽減する新しい投薬

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(出典:FUNDINNO)

 アットドウスの中村秀剛代表の義父は、がんで他界しています。本来、がんは発声と関係ないものの、入退院と治療を繰り返した結果、最後は会話ができない状態だったそうです。治療によって、日常生活が維持できないことに長年課題を感じていたとき、CTOの平藤衛氏のアイデアに出会ったといいます。

 中村氏は金型業界のリーディングメーカーやIT企業での勤務、MBA取得、経営コンサルティングや起業支援などを経験しており、これらと平藤氏のアイデアにより、この課題を解決できると確信し、同社を設立しました。

【タイトル】
(出典:FUNDINNO)

 同社は、新たな投薬のあり方を実現する技術「atDose Core(アットドウス・コア)」を開発するスタートアップです。電気浸透流ポンプという技術を用いて、粘性の高い薬液でも超微量で正確に、一定の速度で局所に投薬できるデバイスを開発・製造しています。

 「atDose Core」を使って、抗がん剤をがんの患部に局所投与すれば、副作用を大幅に軽減できると考えており、まずは眼科領域やインド市場で早期に実績を積み、がん市場以外のさまざまな分野への展開を目指しています。

 こうしたデバイスを実現するため、2つの特許を取得しているほか、電気浸透流ポンプの加工技術は創業以来、6年以上の改良を経てノウハウを保持しており、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)やAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)など多数の外部機関から高く評価されているそうです。

 同社は「成長のための課題」「解決方法」として以下を挙げています。

【成長のための課題】
・最初の医療機器デバイス販売に向けた、認証取得と製造体制・販売体制の確立
・局所投与デバイスとしての継続的なニーズ探索および研究開発の実施

【解決方法】
・人材採用および製造・販売パートナーの獲得
・学会への参加、イベント・展示会での啓蒙活動



「抗がん剤治療」には強い副作用

【タイトル】
(出典:FUNDINNO)

 がん患者に対する標準的な治療方法である「抗がん剤治療」では、強い副作用の発生が当然だと思われており、副作用は精神的、身体的な負担が大きいため、薬の摂取量を減らしたり、使用を中止して治療を諦めてしまうことが少なくないといいます。

 「日本の医療業界では、ITやものづくりといったテクノロジーの活用が遅れていると考えています」(同社)

 例えば、米国で開発された内視鏡手術支援ロボットはこれまでの手術の概念を劇的に変えており、小さな穴から、侵襲性の低い器具を用いて手術をすることで患者の負担を軽減し、入院期間の短縮や手術後の早期復帰を実現しているそうです。

 しかし、日本ではこのような高価な装置を導入できる医療機関は限られており、一般患者が気軽にその恩恵を受けることは難しいといいます。

 「私たちは医療において、安価で効果的に活用できるテクノロジーを導入し、病気を抱えるあらゆる人が自分らしい人生を送りながら治療と向き合える、そんな社会の実現を目指して、事業に取り組んでいます」(同社)

市場の魅力・事業内容・ビジネスモデル・特徴

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(出典:FUNDINNO)

 AMED「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業」における重点分野では、令和4年度までは「検査・診断の一層の早期化、簡易化」がその一つでしたが、令和5年度以降は「検査・診断の一層の早期化、簡易化、低侵襲化」となっており、「低侵襲化」への期待の高まりが伺えるといいます。

 世界的にも低侵襲医療機器の市場規模は拡大傾向にあり、2028年には、2023年比で約1.4倍の約410億米ドルになる見込みだそうです。

 新興国や途上国を震源地にイノベーションを起こし、優れた製品やサービスが先進国へ「逆輸入」される現象を「リバースイノベーション」といい、同社はこれをインド市場から起こしていきたいとしています。

 「インドは成長市場であると同時に、インフラが未整備であったり、医療の面でも多くの社会課題を抱えています。一方でこれは、資源を有効に活用し、低価格かつシンプルで、先進国にも通用するイノベーティブな製品・サービスを生み出しやすい環境であり、新しい技術を導入しやすい環境であるとも考えられます」(同社)

 同社が開発している新デバイスも、インド市場では販売までのプロセスがスムーズに進むと見込んでいます。

【タイトル】
(出典:FUNDINNO)

 同社は新たな投薬技術として「atDose Core(アットドウス・コア)」を開発。同製品には、「電気浸透流」という現象を用いたポンプを搭載し、電圧をかけることで液体の流れを制御しているそうです。

 「atDose Core」の提供価値として、以下の3つを挙げています。

(1)薬剤を超微量に正確に投与できる。
(2)局所に強い力で投与できる。
(3)持続的に一定の速度で投与できる。

 「これらの機能により、細い針でも粘性の高い薬剤等でも、弊社のデバイスを使えば正確に吸引・吐出することができます。また、脳や心臓、がんの患部などへのピンポイント投薬も可能となるほか、人間の手では難しい微細なコントロールを継続的に行えます」(同社)

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(出典:FUNDINNO)

 医療機器としての効果については、城西大学と共同で行った動物実験で効果を確認。乳がんモデルのラットを用いて抗がん剤の局所投与を行ったところ、腫瘍の増大を抑えながら、体重減少などの副作用を軽減することができたそうです。

 現在、指先やフットスイッチで操作することで、薬液を吸ったり吐いたりできる電動注射器を、さまざまな治療の場面に合わせてデザインや機能を考えながら開発しています。

 今後は、特許取得済みのシステムと連携させ、患者の身体状況のモニタリングや投薬タイミングの制御を実現する計画です。センサーとの組み合わせでIoT化し、次世代型投薬デバイスとしてデザインするといいます。

 「『atDose Core』をいち早く上市させ、日々の生活を維持しながら治療が可能な『患者中心の医療』を実現したいと考えています」(同社)

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(出典:FUNDINNO)

 同社は、日本法人のほかにインド法人も設立しています。

 日本法人では、城西大学薬学部の藤堂浩明准教授らとの開発体制を構築しており、医薬品卸業の大手グループ企業とはNDA(秘密保持契約)を締結しているほか、眼科医療機器メーカーとは販売代理店として協議を進めています。

 現在は動物実験用デバイスの販売で収益を得ていますが、今後は医療機関や研究機関向けの製品販売と共同研究により、自社デバイスの価値を最大限生かした製品パイプラインを確立し、医療機器の開発・上市を実現したい考えです。

 製造については、医療機器の登録に必要な医療機器製造販売業の認可を取得。電気浸透流ポンプの実際の製造に関しては、大手医療機器メーカーに委託しており、今後の量産を見込んで専用のラインが組まれているそうです。

 「インド法人の役割は、弊社がライセンスを提供した知的財産のインド国内での管理、現地パートナーとの窓口機能、同国向け医療機器認証取得、現地製薬企業との共同開発などです。インドでの売上が発生すれば、電気浸透流ポンプの販売利益は、レベニューシェアの形で一定の割合が日本法人にも還元される予定です」(同社)

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(出典:FUNDINNO)

【特許1】
電気浸透流ポンプを医療機器として使うアイデアは、CTO・平藤氏が2017年に特許を取得。ポンプをシリコーンゴムやゴム電極で製造することで、製造プロセスが簡素化でき、液漏れの心配もなく、安い材料で作成可能だといいます。

【特許2】
電気浸透流ポンプは電圧の制御で流速を微量に管理できるため、センサーやプログラムと組み合わせて、1つのシステムとして活用することが容易で、2020年に特許を取得しています。

【ノウハウ】
電気浸透流を生み出すセラミックの加工技術も独自開発。混ぜ合わせる材料の配合割合や加工条件など、電気浸透流ポンプを作る上で最適なノウハウを保有しており、改良を重ねているそうです。

 「電気浸透流ポンプを用いた医療機器メーカーはほとんどなく、競合はほぼいないと考えています。昨今、スマートフォンと連携して薬剤を投与したり、体に貼り付けて定期的に投薬を行うなどの医療機器はいくつかありますが、使用シーンや用途が異なるため、ミッションの実現に向けて市場を切り拓いていくパートナーと捉えています」(同社)

今後の成長に向けて

(1)2026年よりIPO準備開始、2029年IPOを計画

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(出典:FUNDINNO)

(2)計画

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(出典:FUNDINNO)

 まずは、国内の眼科治療の領域で後発医療機器として、2025年に製品をリリースしたい考えです。

 日本は規制が厳しく、実績のないスタートアップが医療機器の薬事承認を取得するには高いハードルがあるものの、眼科領域では、薬剤の微量投与や投与した薬剤を抜去するための医療機器が既に上市され、医療現場で活用されているといいます。

 「これにより、既に定義された認証基準を満たすことで、後発医療機器として上市することが可能であると考えています」(同社)

 インド市場への展開も早期に実現すべく、2025年下半期の上市を目標に、眼科治療の領域でデバイスの開発準備を進めているそうです。

 眼科領域で実績を築いた後、製薬会社との協業につなげて、抗がん剤の局所投与に使用する医療機器としての展開を目指しています。

 「また、ウイルス療法や光免疫療法など、がんをピンポイントでたたくことが可能な新しい治療方法においても、弊社のデバイスを活用していくことを検討しています」(同社)

 長期ビジョンとしては、遺伝子治療や再生医療、深海・宇宙での「atDose Core」の活用も視野に入れています。

 最終的には、医療DXプラットフォームの構築を目指しています。

 「atDose Core」を使えば、誰がどの程度、どのような薬を投与したかというデータ収集が可能で、それらを、各人がスマートフォンやスマートウォッチで取得したバイタルデータや電子カルテのデータと組み合わせることで医療ビッグデータを形成。

 このデータを利用すれば、行動パターンから見えてくる治療方法の最適化や投薬による副作用の抑制が可能であるほか、医療費の見える化、遠隔治療の普及、新薬開発へのヒントにもなると見込んでいます。

 「医療DXの領域では、センサーやクラウド活用、データ解析、AI分析などさまざまなプレイヤーが参画し、エコシステムの構築が始まっています。弊社は投薬という観点から、医療DXのエコシステム構築に貢献していきたいと考えています」(同社)

(3)2029年に累計共同研究数は15件を計画

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(出典:FUNDINNO)

株主構成

 同社はVC、事業会社、エンジェル投資家より出資を受けています。

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・NANO MRNA <4571> [東証G]
・CANBAS <4575> [東証G]
・サンバイオ <4592> [東証G]
・ステラファーマ <4888> [東証G]
・Chordia Therapeutics <190A> [東証G]

発行者・募集情報

■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等
アットドウス株式会社
横浜市旭区鶴ヶ峰二丁目41番地54
資本金:85,750,000円(2024年4月17日現在)
発行済株式総数:5,260株(同)
発行可能株式総数:10,900株
設立日:2017年9月1日
決算日:8月31日
※2024年5月30日を効力発生日として、5分割する株式分割に伴い、発行可能株式総数を普通株式50,000株、A種優先株式4,500株とする変更などを実施しており、登記申請中。

■募集株式の発行者の代表者
代表取締役  中村秀剛

■募集株式の種類及び数(上限)
普通株式 2,498株

■募集株式の払込金額
1株あたり 40,000円

■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額1,000万円を以下の目的に充てる予定。
外注費 519万円
人件費 261万円
手数料 220万円

・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額8,992万円(目標募集額1,000万円と上限募集額9,992万円との差額)を以下の目的に充てる予定。
外注費 3,952万円
人件費 2,761万円
特許権の取得費用 300万円
手数料 1,978万円

■投資金額のコース及び株数
80,000円コース(2株)
160,000円コース(4株)
240,000円コース(6株)
320,000円コース(8株)
400,000円コース(10株)
480,000円コース(12株)
960,000円コース(24株)
1,920,000円コース(48株)
2,880,000円コース(72株)
3,840,000円コース(96株)
4,800,000円コース(120株)
9,600,000円コース(240株)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、480,000円コース(12株)までしか申し込みできない。特定投資家口座からの申し込みの場合、9,600,000円コース(240株)を上限とする。

■申込期間
2024年6月25日~7月8日

■目標募集額
10,000,000円(上限募集額 99,920,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は79,920,000円とする。

■払込期日
2024年7月31日

■連絡先
アットドウス株式会社
電話番号:044-201-8775
メールアドレス:fundinno@atdose.com

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

〈NEDOやAMEDが採択〉副作用の少ない局所投薬デバイスでがん治療を変革。成長著しいインド市場を攻める「アットドウス」

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