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【市況】債券市場は特異月、配当利回りと株主優待の二刀流銘柄【フィリップ証券】


■6月20日は国債大量償還日~国債が買われやすく長期金利低下しやすい

 財務省が4日実施した10年国債入札、および6日実施した30年国債入札は、日銀による国債購入の減額観測で需給不安がくすぶるなか、ともに強めの結果となった。4日に反転した長期金利は6日まで引き続き低下基調を辿った。その要因として季節性の需給要因が挙げられる。6月は3ヵ月に一度の大量償還月で国債需要が高まりやすい。店頭取引が主であることから約定日と決済日の間隔も固定的ではなく好機を探りやすい面もある。

 また、大阪取引所に上場する国債先物は限月が3の倍数の月であり、受渡決済期日(原則20日)の5営業日前が取引最終日である。売り方は買い方に渡す受渡適格債を調達する必要があることから、国債の現物の需給が引き締まりやすい面があることも留意すべき点だろう。

 日銀金融政策決定会合、国債大量償還、国債先物の限月交代後は、再び日銀の追加利上げ観測が強まることを背景に、日本株はバリュー株物色の性格を強めつつ銀行株が牽引役を担う展開が想定されよう。

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■配当利回りと株主優待の二刀流~ホテル型Jリート、「物言う株主」の提案も

 最近は機関投資家などより株主平等原則の観点からの株主優待制度への批判を受け、増配積極化の代わりに株主優待制度を廃止する動きもみられる。また、コスト負担の重さの観点からも株主優待と高配当(分配金)は両立しにくい面もある。会社予想の配当・分配金(普通分配金ベース)利回りが5%以上、かつ、株主優待制度を実施している東証上場銘柄が、Jリート(上場不動産投資信託)含めて6日終値で9銘柄あり、レアな存在だ。

 Jリートの中でホテル主体の銘柄は、優待割引で宿泊できるなど魅力的なほか、訪日外国人客(インバウンド)需要の追い風から権利落ち後の投資口価格も堅調に推移。淀川製鋼所 <5451> はアクティビスト(物言う株主)からの株主優待廃止を含む厳しい株主提案を受け、対応が注目される。

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【関連銘柄】

北洋銀行 <8524>

・1998年に北海道拓殖銀行より営業譲渡され、2008年に札幌銀行と合併。北海道を地盤として資金量は全国の第2地銀で最大を誇る。銀行業のほかリース業、その他(クレジットカードほか)を営む。

・5/14発表の2024/3通期(銀行単体)は、コア業務粗利益が貸出金利息や有価証券利息配当金の増加を主因に資金利益が増加したものの、役務取引等利益減少や外貨調達コスト増が響き前期比横ばいの826億円、コア業務純益が人件費や消費税等経費の減少により同7%増の201億円となった。

・2025/3通期会社計画(連結)は、経常利益が前期比25.7%増の234億円、当期利益が同20.8%増の155億円、年間配当が同3円増配の13円。これまで40%をメドとしてきた総還元性向について新たに50%を目安とした。経済産業省は先端半導体の国産化を目指す「ラピダス」の資金調達支援のため、会社向け融資に政府保証を付ける方向で検討中。北海道地盤の同行への恩恵が見込まれる。


インヴィンシブル投資法人 <8963>

・外資系運用会社フォートレス・インベストメントGをスポンサーとするJ-REIT。2004年に東京グローリーズ投資法人として上場。ホテル(9割)と住宅を中核とする総合型。23年6月資産規模4914億円。

・2/26発表の2023/12期(7-12月)は、営業収益が前期(23/6期)比18.2%増の188.19億円、営業利益が同21.6%増の125.88億円、1口当たり分配金が同12.0%増の1639円。12月末保有資産はホテルが同6件増の92件、取得価額が同13%増の5078億円。ホテル資産規模は全J-REIT中最大規模。

・2024/6期(1-6月)会社計画は営業収益が前期(23/12期)比7.3%増、営業利益が同9.0%増、1口当たり分配金が同8%増(1767円)、24/12期含む会社予想年分配金は3506円。7日終値予想年分配金利回りは5.13%、NAV倍率は1.14倍。利用回数制限ない投資主優待制度としてシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル、マイステイズホテルG(旧・かんぽの宿含む)の全ホテルを投資主優待価格で宿泊可能。

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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