【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):フリー、日立造、Fスターズ
フリー <日足> 「株探」多機能チャートより
フリー<4478>が大幅高で3連騰となり、3000円台に乗せた。同社は26日、クラウド会計ソフト「freee会計」の法人向けプランについて、7月1日から事業規模や目的の機能によって選択可能な5プランに改定すると発表した。これまでは4プランだった。新プランの導入とともに価格も改定する方針で、収益へのポジティブな影響を期待した買いが集まったようだ。新たに中小規模法人向けの「ひとり法人」と「スターター」、「スタンダード」と、中堅企業から大企業向けの「アドバンス」、「エンタープライズ」の5プランを用意する。これまでの「ミニマム」と「ベーシック」、「プロフェッショナル」、「エンタープライズ」の4プランについては7月1日以降は契約できなくなる。従来の「ベーシック」では基本料金は月額3980円(年払い)だったが、「スターター」は月額5480円(同)、「スタンダード」は月額8980円(同)とする。
■日立造船 <7004> 1,251円 +100 円 (+8.7%) 本日終値 東証プライム 上昇率3位
日立造船<7004>が大幅高で6連騰。日本経済新聞電子版が27日、「日立造船は半導体製造装置に組み込む全固体電池を初めて受注した」と報じた。今後の収益貢献を期待した買いが集まったようだ。報道によると、同社の全固体電池は真空状態で使うことができ、半導体製造の一部工程の短縮につながるという。
■帝国繊維 <3302> 2,317円 +166 円 (+7.7%) 本日終値 東証プライム 上昇率7位
帝国繊維<3302>が大幅高となり、昨年来高値を更新した。26日の取引終了後、英投資ファンドのニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドによる帝繊維の保有比率が共同保有者とあわせて5%に上ったことが明らかとなった。同日付で財務省に提出された大量保有報告書によると、保有目的には「投資及び経営陣に対する経営の助言並びに状況に応じて重要提案行為等を行うこと」などと記載している。株主側の要請を受けて、帝繊維が株主価値の向上に向けた取り組みを強化するとの思惑が広がり、買いが入ったようだ。報告義務発生日は16日となっている。
■フィックスターズ <3687> 2,056円 +129 円 (+6.7%) 本日終値
フィックスターズ<3687>が上値追い加速、3連騰でフシ目の2000円大台乗せを果たした。連日の年初来高値更新で2097円まで買われる場面があったが、中長期的にみても2019年7月につけた上場来高値2124円の約4年7カ月ぶりの奪回が視野に入った。顧客企業のソフトウェアを高速化させる技術で優位性を発揮、人工知能(AI)や量子コンピューティング分野でも先駆的存在となっている。27日付の日本経済新聞が量子コンピューターの商用化に向けて国内の産学が2024年度に新会社を立ち上げると報じた。産業界からは日立製作所<6501>や富士通<6702>、NEC<6701>などIT大手をはじめ約10社が参画し、30年度までに新しい方式の高性能商用機の実現を目指す方向にあることが伝わっている。これを受けて量子コンピューター関連に位置付けられる銘柄群に物色の矛先が向いている。
■ミスミグループ本社 <9962> 2,163円 +91 円 (+4.4%) 本日終値
ミスミグループ本社<9962>がマドを開けて大幅続伸した。26日の取引終了後に発表した1月の連結売上高は前年同月比16.1%増の313億2300万円となった。昨年4月から今年1月までの累計売上高は前年同期比1.6%減だった。1月単月では2ケタの増収で着地したことを受け、見直し買いが集まっている。FA事業の1月の売上高は前年同月比12.2%増の99億500万円、金型部品事業は同29.6%増の70億1300万円、VONA事業は同13.1%増の144億500万円と、いずれも大幅な増収となった。
■ダイヘン <6622> 7,670円 +220 円 (+3.0%) 本日終値
ダイヘン<6622>が買われ、上場来高値を連日で更新した。同社は26日、再生可能エネルギーの大量導入に向けた電力系統の調整役として需要が拡大する「系統用蓄電池」の設置面積の大幅な削減につながるユニット型パワーコンディショナーを開発したと発表した。導入拡大による業績押し上げ効果を期待した買いが入ったようだ。1500ボルト対応の高エネルギー密度タイプの蓄電池に接続が可能な製品で、蓄電池設備とパワコン、変圧器の設置台数の大幅な削減を実現する。削減したスペースを活用し、蓄電池設備を追加することで、蓄電能力を更に向上させることができるという。
■三井住友FG <8316> 8,408円 +208 円 (+2.5%) 本日終値
三井住友フィナンシャルグループ<8316>や三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、みずほフィナンシャルグループ<8411>が3連騰となり、そろって昨年来高値を更新した。日銀が26日、金融経済に関して解説する「日銀レビュー・シリーズ」として新たなレポートを公開したことが、マイナス金利の早期解除や、その後の追加利上げの観測を広げる方向に作用したようだ。銀行株には、収益環境が一段と改善に向かうといった思惑をもとにした買いが入っており、北洋銀行<8524>や九州フィナンシャルグループ<7180>など地銀株も高い。日銀が公表したレポートのタイトルは「賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について」。定量的な評価を試みた結果「賃金上昇を販売価格に反映させる動きが、徐々に広がっていることが示唆された」としている。日銀レビュー・シリーズでの意見は、必ずしも日銀の見解を示すものではないものの、市場では賃金・物価の好循環と金融政策との関係性を踏まえ、日銀が金融政策の正常化に前向きな姿勢を示したと受け止める向きも多いようだ。
■三浦工業 <6005> 3,060円 +71 円 (+2.4%) 本日終値
三浦工業<6005>が4日続伸。同社は26日、東京ガス<9531>及び岐阜大学と産業用熱利用におけるアンモニア利用の研究開発を開始したと発表しており、これが新たな買い手掛かりとなったようだ。この研究開発は、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム第3期課題「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」の研究開発テーマ「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」において実施。早期に社会実装可能な脱炭素エネルギー及び水素キャリアとして期待されているアンモニアを燃料とした工業炉や貫流ボイラーの開発に取り組むとしている。
■カルビー <2229> 3,223円 +57 円 (+1.8%) 本日終値
カルビー<2229>は堅調。26日取引終了後、24年3月期配当予想を54円から56円(前期52円)へ上方修正すると発表。これが好感された。
■パナHD <6752> 1,439円 +25 円 (+1.8%) 本日終値
パナソニック ホールディングス<6752>は3日ぶりに反発した。27日、同社傘下のパナソニックエナジーが車載用リチウムイオン電池の生産拡大を目的に、独H&T Rechargeとの間で北米での電池外装缶の長期供給契約を締結したと発表し、好感されたようだ。H&Tはパナソニックエナジーの米ネバダ工場に外装缶を供給しているが、今回の契約により、2024年度に稼働を開始する予定のカンザス工場向けにも供給する。パナソニックエナジーは重点地域である北米での車載電池の生産拡大に向け、材料の現地調達比率の向上につなげる。
株探ニュース