【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):ベネ・ワン、パソナG、ローム
ベネ・ワン <日足> 「株探」多機能チャートより
ベネフィット・ワン<2412>が急騰。同社は企業や官公庁の福利厚生代行サービスを主力展開しており、ヘルスケア事業をはじめ幅広い会員制サービスを行っている。7日取引終了後、第一生命ホールディングス<8750>が同社に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表、TOB価格は1株当たり1800円でこれにサヤ寄せする形で株価が急動意した。1月中旬をメドに公開買い付けを始める方針。なお、医療情報サイト運営のエムスリー<2413>が11月14日に同社株へのTOBを既に発表しているが、TOB価格は1600円で、第一生命HDが今回示したTOB価格を200円下回っている。エムスリーに対抗する形での第一生命HDのTOB発表にマーケットでも関心が集まっており、その行方が注目される。
■パソナグループ <2168> 2,808円 +500 円 (+21.7%) ストップ高 本日終値 東証プライム 上昇率2位
パソナグループ<2168>がストップ高に買われ、年初来高値を更新した。7日の取引終了後、連結子会社のベネフィット・ワン<2412>に対し、第一生命ホールディングス<8750>が1株1800円以上でTOB(株式公開買い付け)を開始する予定だと発表した。エムスリー<2413>によるTOB価格1600円を上回っている。第一生命HDはTOB実施後に、パソナGが保有する株式に対しベネ・ワンが自己株式取得を行い、最終的に完全子会社化する方針。パソナはエムスリーのTOBに応募する契約を締結していたが、今回の第一生命HDの発表を受け、応募契約の規程を考慮のうえ、対応を検討するとした。市場では、エムスリーと第一生命HDによるベネ・ワン争奪戦により、TOB価格が引き上げられるとの思惑もあるようだ。パソナGに関しては保有株売却により利益が上振れするとの期待が膨らみ、買い注文を集めたとみられている。
■ローム <6963> 2,844円 +167.5 円 (+6.3%) 本日終値 東証プライム 上昇率8位
ローム<6963>が大幅反発。7日夜の複数のメディアで、東芝<6502>とパワー半導体を共同生産すると報じられており、これが好材料視された。事業費の一部を国が補助するとしており、その額は1200~1300億円規模とされている。
■ニチレイ <2871> 3,502円 +203 円 (+6.2%) 本日終値 東証プライム 上昇率9位
ニチレイ<2871>が急伸。ワークマン<7564>やニトリホールディングス<9843>、神戸物産<3038>が買われた。植田日銀総裁が7日、国会での答弁において「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことを機に、日銀の金融政策修正シナリオが意識され、外国為替市場でドル円相場は大きく水準を切り下げた。日本時間8日未明に瞬間的に1ドル=141円台までドル安・円高が進行。その後も荒い動きとなって、足もとでは1ドル=143円台後半で推移する。株式市場では輸入コストの低減が期待される円高メリット関連株に資金をシフトさせる動きが散見される。日本製紙<3863>など紙・パルプの一角やセリア<2782>も高い。
■日本マイクロニクス <6871> 3,655円 +145 円 (+4.1%) 本日終値
日本マイクロニクス<6871>が全体波乱相場のなか強さを発揮。プローブカードなど半導体検査器具の大手メーカーで、メモリー向けでは世界トップシェアを誇る。前日の米国株市場では半導体関連株が軒並み買われる展開となったが、きょうの東京市場でも日経平均が600円を超える下げに見舞われるなか、半導体主力株の一角は下値抵抗力を発揮している。そのなか、同社は売上高の約8割を海外で占めており、特に韓国や台湾向けなどで実績が高い。「半導体向けを主力とする超純水装置メーカーで韓国や台湾向けで需要を開拓し業績と株価を変貌させた野村マイクロ・サイエンス<6254>の連想が働いている」(中堅証券ストラテジスト)という声も聞かれる。
■エービーシー・マート <2670> 2,567.5円 +61.5 円 (+2.5%) 本日終値
エービーシー・マート<2670>が逆行高。SMBC日興証券が7日付で投資評価を「2」から「1」へ引き上げたことが買い材料視された。目標株価は2900円を据え置いた。同証券によると、業績堅調ながら短期的な株価が下落し、セクター内相対での上値余地がでたため投資評価を引き上げるとした。今後のカタリストは、8月修正済みの会社計画の上振れとコンセンサスの上昇による直近の株価低下の修正という。
■エイチ・アイ・エス <9603> 1,824円 +41 円 (+2.3%) 本日終値
エイチ・アイ・エス<9603>やアドベンチャー<6030>、エアトリ<6191>など旅行関連株が高い。外国為替市場で円高方向の動きが強まっている。7日の円相場は一時1ドル=141円台と約4カ月ぶりの高値をつけた。円安基調の一服を背景に今後海外旅行の需要が増加するとの期待感から、旅行関連に位置づけられる銘柄に思惑的な物色が向かったようだ。
■ホットランド <3196> 1,965円 +39 円 (+2.0%) 本日終値
ホットランド<3196>は反発。7日の取引終了後、コシダカホールディングス<2157>と飲食・アミューズメント分野で資本・業務提携すると発表。これが好感された。コシダカHDが運営する「カラオケまねきねこ」などのアミューズメント店舗で、ホットランドの商品を販売する。また、両社が運営する店舗での相互送客を含めた共同展開や海外での共同出店などを行うという。資本面では互いに3億円相当の株式を取得する。あわせて、50万株(自己株式を除く発行済み株数の2.31%)、または9億6300万円を上限に、8日朝の東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で自社株を取得すると発表した。買い付け価格は7日終値の1926円。なお、東証の自己株式立会外買付取引情報によると、ホットランドは8日に買い付けを実施。買い付け数量50万株に対し、約定数量40万7900株となっている。
■住石ホールディングス <1514> 1,072円 +21 円 (+2.0%) 本日終値
住石ホールディングス<1514>が全体波乱相場の間隙を縫って4連騰と新値街道をまい進している。前日は150円高のストップ高で1000円大台乗せを果たしたが、きょうもその余勢を駆って、一時255円高の1306円まで駆け上がる場面があった。住友石炭鉱業を母体とする石炭大手で石炭の輸入販売のほか、工業用人工ダイヤモンドなどの先端素材の製造も手掛けている。株価は今年の秋口を境に急速に居どころを変える展開となっており、8月時点では300円台で推移していたが、9月以降に急速な上値追い局面へと移行、直近まで3カ月あまりで株価は3倍化した。同社株が脚光を浴びているのは利益が急拡大していることはもとより、株主構成に現在進行形で大きな変化がみられることだ。著名投資家で大株主となっていた井村俊哉氏が保有株の売却を続ける一方、医療関連・建設コンサルティングなどを手掛ける麻生(福岡県飯塚市)が、一貫して同社株を買い増す動きを続けている。直近(4日現在)で麻生の同社保有株比率は約43%に達している。市場関係者は「麻生の代表取締役会長を務める麻生泰氏は自民党の麻生太郎副総裁の実弟であり、(麻生は)住石HD以外の銘柄でも大株主として浮上し、当該銘柄の株価が上昇した経緯がある。時期的にも(住石HDは)マル政銘柄との位置付けで個人投資家の短期筋を中心に物色人気が加速している」(中堅証券マーケットアナリスト)とする。
■藤田観光 <9722> 4,300円 +75 円 (+1.8%) 本日終値
藤田観光<9722>が5日続伸。7日の取引終了後、A種優先株式の一部取得と消却を発表しており、好材料視された。DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合から22日付で50株を取得し消却する。同社は21年9月に財務基盤安定化のために総額150億円のA種優先株式を発行したが、その後の収益力強化と構造改革によるコスト削減の取り組みに加え、インバウンド需要回復の効果などで、収益力及び自己資本が着実に回復。これらを踏まえ、A種優先株式の優先配当などの支払い負担を低減させることを目的として、一部償還(取得及び消却)を実施するとしている。
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