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【市況】明日の株式相場に向けて=「狼が来た」の虚実を問う日

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比668円安の3万601円と急反落した。前日の米ハイテク株安を受け、リスクオフの地合いは覚悟されるところだったが、思いのほか売り圧力が強く、日経平均は米株価指数先物を横目にひたすら下値を模索し、この日の安値圏で引けた。

 全体相場は再び波乱の様相を呈している。23年の年初からスタートしている上昇相場は途中に停滞する場面は何度かあったが、そこは幸いにも上り階段の踊り場として、空売り玉を肥やしに程なく上値追いを再開するというパターンを繰り返してきた。特に新年度入りとなった4月以降は東証のPBR1倍割れ企業に対する改善策開示要請が低PBR株の刺激材料となり、これに加えて訪日した著名投資家ウォーレン・バフェット氏の商社株への買い増しが明らかとなると、東証大号令と共鳴する形でバリュー株物色の動きが加速した。半導体関連株も春以降はアドバンテスト<6857>やディスコ<6146>などを中軸に、 生成AIが紡ぎ出す半導体特需のシナリオを拠りどころに市況低迷下の株高を演じ、全体相場の押し上げに貢献した。

 しかし、6月中旬を過ぎたあたりで相場の上値が明らかに重くなった。これは米長期金利の上昇が本格化し始めたタイミングと一致する。それでも強弱観が対立した際に何度も崩れそうなところで踏ん張り、結局はショート筋が折れる形で日経平均は立ち直ってきた、というのがこれまでの経緯だ。空売り筋が跋扈(ばっこ)する時間帯が訪れても最後は踏まされて終了というのがお決まりのパターンだった。全体相場はさまざまなノイズに晒されながらも、結果的にそれを“狼少年のたわごと”として処理してきたわけだ。

 だが、どこかで「本当に狼が来るかもしれない」という恐怖感が買い方に芽生えていたのも確かだと思われる。ジョン・テンプルトン語録を借りれば、そうした懐疑の中で相場は育ち続けてきたわけだが、今回は止まらない米長期金利の上昇が現在進行形で株式市場に強烈なストレスを与えている。今回の「Wolf is coming」が本当の叫びなのかどうかは、来週の相場がおおよその答えを示すことになる。

 注目されるのは米ナスダック市場の動向だ。「場合によって、これはビッグテック相場の終焉を意味することにもなる」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘がある。ナスダック総合株価指数は直近で1万3000を割り込み、陰線丸坊主に近い形で週明け23日につけたザラ場安値も下回った。このままこの大台ラインから下放れれば、それはGAFAM神話の崩壊と同義であるという主張である。

 くしくもこの時期はGAFAMの四半期決算発表期と重なっている。前日の米国株市場では、マイクロソフト<MSFT>がサプライズ決算を発表し全般に逆行高と気を吐いたが、一方でアルファベット<GOOG>は決算悪を嫌気され急落と明暗を分けた。この両社の主戦場であるクラウドサービス分野で、AIスタートアップのオープンAIを先見の明で抱き込んだマイクロソフトが生成AI分野で先行者利益を享受し、宿敵グーグルを引き離したという構図となった。そして、現地時間きょう米株取引終了後に発表されるアマゾン<AMZN>の決算と、それを受けた同社の株価動向に世界の耳目が集まることになる。こればかりはフタを開けて見ないことには分からないが、仮に決算を売り材料とされた場合、アマゾンの株価下落がナスダック指数を揺るがすこととなる。また、絶対と見られていた生成AI市場の未来図にも危うさが漂う。足もとのマイクロソフト独り勝ちも、生成AIの成長神話を見切り発車で過剰に織り込み過ぎていた場合、GAFAMに勝利者はいなくなる。

 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に10月の都区部消費者物価指数(CPI)が開示され、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、東証グロース市場にドリーム・アーツ<4811>が新規上場する。海外では1~9月の中国工業企業利益、ロシア中銀の政策金利発表、9月の米個人所得・個人消費支出・PCEデフレーター、10月の米消費者態度指数(確報値・ミシガン大学調査)など。なお、国内主要企業の決算発表ではエムスリー<2413>、信越化学工業<4063>、コマツ<6301>、日立製作所<6501>、キーエンス<6861>、野村ホールディングス<8604>などが予定されている。海外主要企業ではシェブロン<CVX>の決算が注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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