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【市況】アックマン氏 景気は思った以上に好調だが、問題はこれから

 金融情報サイトのマーケットウォッチが、著名投資家のアックマン氏のインタビューを伝えており、「米経済は短期的には少し落ち着けるが、この先はバラ色ばかりではない」と語った。同氏は、2020年1月のパンデミックを皮切りに、金利や経済を通じて、何が起こるかの水晶玉を持っているような気がすると語っている。「パンデミックの間、水晶玉は少し曇ったと言える。今は異常な経済状況だと思うし、このようなパターンが繰り返されるとは考えていない」という。

 しかし同氏は、短期的には明るい見通しを立てており、この2年間、人々は景気後退がすぐそこまで来ていると言ってきたが、われわれはまったく違った見方をしてきた。低所得者層はパンデミックの財政刺激策で積み上がった貯蓄を使い果たしたが、その影響はまだ経済には現れていないという。

 ただ、同氏はこの先に対する懸念を山積させている。米連邦債務の約3分の1が再価格化される予定で、比較的短期間で金利負担が財政赤字の大部分を占めるようになり、それは経済に貢献しなくなるという。また、金利上昇は貯蓄者の助けにはなるが、最終的には経済の大きな足かせになるとも指摘している。インフレ上昇、住宅ローン金利の上昇、自動車の支払い、クレジットカード金利の上昇など、すべてが景気を減速させる要因になるという。

 この約1年間、米国債市場では逆イールドが続き、景気後退の前兆とみなされる現象が出ている。「インフレが2%にすぐに戻るとは思えないし、実際、3%のインフレが続く世界であれば、4.3%、4.25%の国債利回りは意味をなさない」という。

 同氏は、春の危機以降も米地銀に対する懸念を持ち続けている。多くの米地銀は、金利上昇につれて資産価値が低下する固定金利のポートフォリオを多く抱えているからだ。商業用不動産の状況は好転しておらず、むしろ、オフィスビルではデフォルトが起こり始めている。また、米地銀は建設ローンを最も多く扱っているため、返済不能になる建設ローンが続出する可能性がある。そのため、投資家グループはより多くの資本投入を迫られるか、銀行が損失を被ることになるという。

 同氏はまた、投資家は来年の米大統領選にも直面しており、それがストレスになる可能性もあるとも指摘した。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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