【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(2):日本製鉄、アダストリア、日製鋼
日本製鉄 <日足> 「株探」多機能チャートより
日本製鉄<5401>、JFEホールディングス<5411>など鉄鋼株への買いが目立つ。前週末の米国株市場ではNYダウが今年最大の上げ幅を記録し、ハイテク系グロース株だけでなく景気敏感株への買い戻しが顕著だった。前週の東京市場では、中国景気減速懸念などを背景に鉄鋼株などの景気敏感株に大きく売りが先行する場面があったが、目先は米株市場の地合いを引き継ぎ買い直される動きとなっている。なお、東証が低PBR是正に向けた経営改善要請を行うなかで、日本製鉄のPBRは0.6倍台、更にJFEはPBR0.5倍前後と、指標面からの割安感も株高修正要因として引き続き意識されている。
■アダストリア <2685> 2,841円 +57 円 (+2.1%) 本日終値
アダストリア<2685>が続伸し年初来高値を更新した。前週末2日の取引終了後に発表した5月度の月次売上高で、既存店売上高が前年同月比11.2%増と15カ月連続で前年実績を上回ったことが好感された。昨年に比べて休日が1日少ない影響が2ポイントあったと試算されるものの、ゴールデンウィーク中に天候に恵まれ、前年以上に人流が回復したことや、月を通して気温が高く推移したことで夏商品の販売が順調だった。ブランド別では、グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファーム、スタディオクリップなどが堅調だった。なお、全店売上高は同13.6%増だった。
■日本製鋼所 <5631> 3,018円 +60 円 (+2.0%) 本日終値
日本製鋼所<5631>が高い。岩井コスモ証券は2日、同社株の投資判断を新規「A」でカバレッジを開始した。目標株価は3500円とした。同社は総合樹脂機械メーカーの世界大手。特にリチウムイオン電池(LiB)用セパレーターフィルム製造装置で世界シェア7割を握る。23年3月期の連結営業利益は前の期比10.4%減の138億4600万円で着地。調達費高騰の影響を価格改定で補えなかった。24年3月期の同利益は前期比33.6%増の185億円の見込み。顧客の設備投資の回復で産業機械事業、素形材・エンジニアリング事業ともに伸びる見通し。同証券ではセパレーターフィルム製造装置や造粒機、加工機の需要増に期待している。
■トヨタ自動車 <7203> 2,028.5円 +19 円 (+1.0%) 本日終値
トヨタ自動車<7203>が3日続伸と上値追い態勢を明示している。前週末に大陽線で年初来高値を更新したが、きょうも買いが続き新値街道を走る展開。世界的なリスクオン相場が続いており、そのなか相対的に割安な日本株への買いに弾みがついている。直近では米長期金利が上昇傾向にあり、日米金利差拡大の思惑から外国為替市場ではドル高・円安が進行、再び1ドル=140円台に入っており、輸出採算改善への期待から同社株には追い風が強い。独ダイムラートラックとの商用車で提携を報じられたことも株価を刺激している。
■ソフトバンクグループ <9984> 6,022円 +51 円 (+0.9%) 本日終値
ソフトバンクグループ<9984>が3連騰、2月上旬以来約4カ月ぶりとなる6000円台に乗せてきた。前週末の米国株市場ではNYダウが700ドルあまりの大幅高となったほか、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も上値指向が鮮明で、週間では6週連続の続伸となった。これを受け東京市場でもリスクオン相場が加速している。そのなか、同社株は先物主導のインデックス買いを追い風に、空売りの買い戻しも加わり上げ足を強めている。日米で人工知能(AI)関連株への物色人気が高まるなか、傘下のファンドを通じて世界のAIベンチャーに積極投資している同社株は、その象徴株の一角としてもマーケットの視線を集めている。
■ユナイテッドアローズ <7606> 2,351円 +14 円 (+0.6%) 本日終値
ユナイテッドアローズ<7606>が続伸。前週末2日の取引終了後に発表した5月度の売上概況(速報)で、小売りとネット通販を合わせた既存店売上高が前年同月比10.5%増と6カ月連続で前年実績を上回ったことが好感された。前年に比べて休日が1日少ない影響がマイナス1.5%程度あったものの、ビジネス、カジュアルとも夏物衣料の動きが活発化したことが寄与した。ジャケット、パンツ、ワンピースに加え、半袖衣料全般、スニーカー、サンダルなどが好調だった。なお、全社売上高は同10.6%増だった。
■アインホールディングス <9627> 5,086円 -754 円 (-12.9%) 本日終値 東証プライム 下落率トップ
アインホールディングス<9627>が急反落。前週末2日の取引終了後に発表した24年4月期連結業績予想で、売上高3750億円(前期比4.5%増)、営業利益156億6300万円(同2.1%減)、純利益82億5000万円(同10.7%減)と増収減益を見込むことが嫌気された。調剤薬局の新規開発やコスメ&ドラッグストア「アインズ&トルペ」の好立地への継続的な出店、M&Aの積極活用などにより売上高は伸長を見込むものの、原材料価格や燃料価格の高騰及び諸物価の上昇継続やシステム投資、人員増に伴う人的コストの増加などが利益を圧迫する。なお、23年4月期決算は、売上高3587億4200万円(前の期比13.4%増)、営業利益160億400万円(同5.7%増)、純利益92億3400万円(同30.2%増)だった。
■北陸電力 <9505> 730.3円 -41.7 円 (-5.4%) 本日終値 東証プライム 下落率3位
北陸電力<9505>が3日続落した。前週末2日の取引終了後、これまで未定としていた24年3月期の連結業績予想を開示し、最終損益が200億円の黒字(前期は884億4600万円の赤字)に転換する見通しを示した。家庭向けの規制料金の値上げが認可されたことに伴い、影響を業績予想に反映した。ただ今回は業績予想の修正にとどまり、中間期無配で期末配当は未定とする4月時点の年間配当予想は据え置かれた。黒字化による復配を見込んでいた投資家の失望売りを促す要因となったようだ。
■ハイレックス <7279> 1,117円 -41 円 (-3.5%) 本日終値
ハイレックスコーポレーション<7279>が急反落した。前週末2日の取引終了後、23年10月期第2四半期累計(22年11月~23年4月)の連結決算発表にあわせ、今期の業績予想の修正を発表した。最終利益の見通しをこれまでの36億円から13億円(前期は71億2000万円の最終赤字)に下方修正しており、嫌気されたようだ。今期の売上高予想は2880億円から2851億円(前期比11.5%増)に引き下げた。北米地域での価格改定効果の出現が想定よりも遅れる見通しとなったほか、中国での労務費の増加や主要顧客による影響などもあり、業績予想に反映した。
■ニトリホールディングス <9843> 17,185円 -400 円 (-2.3%) 本日終値
ニトリホールディングス<9843>が反落。2日の取引終了後に発表した5月度の月次国内売上高で、既存店売上高が前年同月比4.5%減と2カ月連続で前年実績を下回ったことが嫌気された。テレビCMの効果やエアコンキャンペーンなどで寝具寝装品、家電製品の売り上げが好調に推移した一方、前年に比べて気温の低い日が続いたことなどが響いた。なお、全店売上高は同1.9%減だった。
株探ニュース