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【特集】ヴィンクス Research Memo(1):流通小売業のDXをリードするITサービス企業

ヴィンクス <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

ヴィンクス<3784>は、流通小売業のDX(Digital Transformation=デジタル・トランスフォーメーション)をリードするITサービス企業である。流通小売業を熟知した高度な開発力・技術ノウハウ・サービス力をベースとして、大手流通小売グループ向け中心に、POS(Point Of Sale=販売時点情報管理)関連、CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)関連、AI(Artificial Intelligence=人工知能)を活用したMD(Merchandising=商品政策)関連など、システム開発やソリューションサービスを展開している。同社のソリューションは特定のメーカーやハードウェアに限らず導入できる柔軟なシステムを特徴としている。ニューリテールと呼ばれる近年の小売業を巡る事業環境の変化に対応して、POSシステム「ANY-CUBE」シリーズやMD基幹システム「MDware」の拡販など、ニューリテール戦略、特定顧客化戦略、グローバル市場戦略を推進している。

1. 2022年12月期は計画を上回る大幅増益で着地
2022年12月期の連結業績は売上高が前期比6.3%増の31,734百万円、営業利益が同22.7%増の3,098百万円、経常利益が同20.5%増の3,058百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同26.9%増の2,051百万円となった。計画を上回る大幅増益で着地した。国内小売業におけるDXニーズの高まりで需要が高水準に推移したことに加えて、既存顧客へのさらなる深耕、適正な受注価格の維持、ライセンス販売の増加に伴うストック収益の増加、継続的な生産性向上や品質向上・不採算化に向けた取り組みの成果なども寄与した。分野別に見ると特にプロダクト分野が大幅伸長した。全社ベースの売上総利益は9.1%増加し、売上総利益率は同0.6ポイント上昇して23.7%となった。販管費は1.3%微増に止まり、販管費比率は同0.6ポイント低下して14.0%となった。この結果、営業利益率は1.3ポイント上昇して9.8%となった。利益率は上昇基調である。

2. 2023年12月期は小幅増収増益予想、さらに上振れの可能性
2023年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比3.0%増の32,700百万円、営業利益が同3.1%増の3,195百万円、経常利益が同3.0%増の3,150百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.1%増の2,115百万円としている。流通系ITシステムに特化した業界最大規模のIT企業として、既存事業を高度化させるとともに、ニューリテール事業を具現化させ、事業の持続的な成長を目指す方針としている。会社予想は、景気の不透明感や先行投資による人件費や開発費の増加などを考慮して小幅な増収増益に留まる予想としているが、小売業におけるDXニーズが引き続き高水準に推移し、ストック収益拡大や生産性向上の一段の進展効果などを勘案すれば、会社予想は上振れの可能性が高いだろう。

3. 流通小売業のDXをリードするITサービス企業として中長期成長ポテンシャル大きい
同社は、既存事業の高度化とニューリテール事業の具現化に加えて、事業構造改革を推進することによって、さらなる事業成長と安定的収益の確立、企業価値の一層の向上に努める方針を打ち出し、中期計画の目標値には2025年12月期売上高34,700百万円、営業利益3,395百万円、経常利益3,345百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,245百万円を掲げている。小売業界においては個人消費・購買行動の変化や労働力不足への対応などで、ニューリテールと呼ばれる新技術を活用した店舗運営を実現するためにDX投資が加速すると予想されている。同社は流通小売業を熟知し、異なるPOSを柔軟に組み合わせて導入できることなどを強みとしており、さらに市場開拓余地が大きいことなども勘案すれば、流通小売業のDXをリードするITサービス企業として中長期成長ポテンシャルは大きいと弊社では評価している。

■Key Points
・大手流通小売グループ向け中心にPOS関連やMD関連を展開し、ニューリテール戦略を推進
・2022年12月期は計画を上回る大幅増益で着地
・2023年12月期は小幅増収増益予想、さらに上振れの可能性
・流通小売業のDXをリードするITサービス企業として中長期成長ポテンシャル大きい

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SI》

 提供:フィスコ

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