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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「気掛かりな米国市場、リスクオフは強まるか」

株式評論家 富田隆弥

◆4月に入って株式市場の雲行きが怪しくなってきた。日本株のスピード調整は想定もしていたが、気掛かりなのは米国だ。株式市場は金利低下に反応せず、景気減速を懸念するように「リスクオフ」の動きが見られる。

◆米国では3月ISM製造業景気指数(前月比-1.4pt)、2月雇用動態調査の求人件数(同-63.2万件)、2月製造業新規受注(同-0.7%)と、足もとの経済指標はいずれも減速し、事前の市場予想を下回った。これらを背景に米国景気の減速懸念が台頭し、マネーは「リスクオフ」に傾き始めたと言える。

◆米国の10年債利回りは、3月2日の4.06%を戻り高値に、4月5日時点では3.3%台に低下している。1月~3月の下限(3.37%)を割り込んだことで、チャートは更なる低下を示唆する。だが、この金利低下にも、ナスダックは反応しない。3月後半は金利低下を背景に31日高値の1万2227ポイントまで上昇したが、5日時点で1万1996ポイントと3日続落。日足チャートは2月2日高値(1万2269ポイント)とダブルトップを形成しかねない雲行きだ。

日経平均株価は、3月16日安値の2万6632円から4月4日高値の2万8287円まで1655円上昇したが、5日は474円安、6日も340円安と2日間で814円下落した。きつい調整になったが、3月安値から順調に上昇して厚い節目の2万8000円台に乗せたこと、またテクニカル指標が過熱感を帯びていたことを踏まえれば、この調整は定石通りでもあり、200日移動平均線(6日時点2万7370円)まではスピード調整の範囲と言える。

◆日本株には4月から5月にかけて上昇しやすいというアノマリー(経験則)がある。今年は5月にG7広島サミットも予定されており、調整一巡後に切り返す可能性は十分にある。だが、そのためには米国株(NYダウ、ナスダック)の浮上が必要だ。米国では12日に消費者物価指数、14日に小売売上高、そして決算発表の本格化と注目スケジュールが続く。日本は14日がミニSQ(オプション清算日)で、株価の振れやすい地合いは続く。押し目買いに動くのは少し様子を見てからでもよさそうだ。

(4月6日 記、次回更新は4月13日を予定)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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