【市況】9日の米国市場ダイジェスト:米国株式市場は下落、地銀の信用不安も浮上
NASDAQ <日足> 「株探」多機能チャートより
■NY株式:米国株式市場は下落、地銀の信用不安も浮上
米国株式市場は下落、ダウ平均は543.54ドル安の32,254.86ドル、ナスダックは237.65ポイント安の11,338.36で取引を終了した。
新規失業保険申請件数が増加したため連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ長期化懸念が後退し、金利低下に伴う買いが先行。昼にかけ、バイデン大統領が24年会計年度(23年10-24年9月)の6.9兆ドル規模の予算案を発表、富裕層や法人の増税が含まれることが嫌気され、売りに転じた。さらに、暗号資産関連のシルバーゲートキャピタル(SI)に続き、テクノロジーなど新興企業向けの商業銀行サービスを提供するSVBファイナンシャル・グループ(SIVB)株の急落で、地銀などの含み損拡大が明らかになりつつあり、終盤にかけて先行き警戒感から売りが加速。下げ幅を拡大して終了した。セクター別では、銀行が大きく下落。
技術・金融サービス会社のゼネラル・エレクトリック(GE)は23年の見通し据え置きが好感されて上昇した。自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)は希望退職を募る計画を発表して下落。eコマースのエッツィ(ETSY)はアナリストの投資判断引き下げが嫌気されて下落した。暗号資産関連企業を中心に取引している銀行持ち株会社シルバ―ゲート・キャピタル(SI)は暗号資産取引所FTX破たんが響き預金が急減、傘下銀行の自主精算を発表した影響で引き続き売られた。また、新興企業向けの商業銀行サービスを提供するSilicon valley bankの持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ(SIVB)は含み損を埋めるための資金調達目的で17.5憶ドル規模の株式売却を発表、第1四半期の見通しも引き下げたため、一時取り引きが中断するなど急落した。大手銀のJPモルガン(JPM)は元幹部が富豪で元被告を顧客として受け入れ続けたとバージン諸島が同行を提訴、同時に同行は元幹部を提訴するなど一連の事象が嫌気されて下落。
取引終了後に決算を発表したオラクル(ORCL)は内容が予想を下回り、時間外取引で下落している。
(Horiko Capital Management LLC)
■NY為替:米労働市場のひっ迫緩和観測で金利低下、ドル反落
9日のニューヨーク外為市場でドル・円は、135円95銭まで下落後、136円48銭まで上昇も上値が抑制され、136円12銭で引けた。米先週分新規失業保険申請件数が予想以上に増加したため労働市場ひっ迫緩和で、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ観測が後退し、金利低下に伴うドル売りが優勢となった。
ユーロ・ドルは、1.0552ドルから1.0591ドルまで上昇し1.0581ドルで引けた。ユーロ・円は143円63銭まで下落後、144円28銭まで反発。ポンド・ドルは、1.1877ドルから1.1939ドルまで上昇した。ドル・スイスは、0.9394フランから0.9324フランまで下落した。
■NY原油:続落で75.72ドル、株安を意識した売りが強まる
NY原油先物4月限は続落(NYMEX原油4月限終値:75.72 ↓0.94)。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は、前営業日比-0.92ドルの75.72ドルで通常取引を終了した。時間外取引を含めた取引レンジは75.45ドル-78.06ドル。ロンドン市場の序盤に76ドル台前半まで下げた後、米国市場の中盤にかけて78.06ドルまで反発したが、株安を意識した売りが強まり、反落。通常取引終了後の時間外取引で75.45ドルまで一段安となった。
■主要米国企業の終値
銘柄名⇒終値⇒前日比(騰落率)
バンクオブアメリカ(BAC) 30.54ドル -2.02ドル(-6.20%)
モルガン・スタンレー(MS) 92.20ドル -3.70ドル(-3.86%)
ゴールドマン・サックス(GS)342.09ドル -7.20ドル(-2.06%)
インテル(INTC) 26.44ドル +0.46ドル(+1.77%)
アップル(AAPL) 150.59ドル -2.28ドル(-1.49%)
アルファベット(GOOG) 92.66ドル -1.99ドル(-2.10%)
メタ(META) 181.69ドル -3.28ドル(-1.77%)
キャタピラー(CAT) 240.96ドル -7.76ドル(-3.12%)
アルコア(AA) 47.90ドル -3.12ドル(-6.12%)
ウォルマート(WMT) 137.17ドル -0.93ドル(-0.67%)
《NH》
提供:フィスコ