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【市況】米国株式市場見通し:2月雇用統計やパウエルFRB議長の議会証言に注目


 

半年に一度開催される金融政策を巡るパウエルFRB議長の上下両議会での証言や雇用統計など金融政策決定で重要なイベントに注目だ。インフレや経済への不透明感は依然強く、方向感のない商状が続くだろう。インフレは思うように改善が進まず、FRBが当初想定していた以上の水準まで利上げが必要になる可能性が強まっているため、足元の相場上昇も限定的になりそうだ。

議長証言を控え、FRBは公表した金融政策報告で、FOMCがインフレ率を目標の2%に戻すことを強く公約し、継続した利上げが適切であると示した。1月の雇用統計が想定以上に強い結果となったほか、同月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の伸びも予想を上回り、インフレ鈍化ペースが想定以上に遅いことが改めて確認された。加えて、賃金インフレが新たなインフレ上昇圧力になる可能性は、FRBが政策金利をより高い水準まで引き上げる必要性を強める。FRBは特に賃金インフレの過熱を警戒している。賃金・物価スパイラルを食い止めるため断固とした措置を試みるだろう。3月FOMCでは前回に引き続き0.25ポイントの利上げが見込まれている。しかし、短期金融市場では0.50ポイントの利上げも若干織り込み始めた。

例年、1月の指標は大幅な季節調整が影響するため一時的な兆候にとどまることも多い。このため、2月以降のデータで状況を確認していくことが重要だろう。仮に2月の雇用統計も1月分で示されたように強い労働市場の傾向を再確認した場合、ピーク金利がさらに上昇する可能性には警戒だ。ウォラー理事やミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は政策金利を5.4%以上に引き上げる必要が出てくる可能性を指摘している。一方、パウエル議長は前回のFOMC後の会見で、ディスインフレが始まった兆候に初めて言及し、相場の上昇につながった。今回の証言では、最近の労働市場の強さやインフレの遅い鈍化を受け、議長のインフレを巡る判断に特に注目したい。先の発言が撤回または、弱められた場合は、相場を押し下げることになるだろう。

なお、携帯端末のアップルは10日に年次株主総会を予定しており、内容がハイテクセクターに影響を与える可能性もあり、注目だ。経済指標では、1月製造業受注、1月耐久財受注確定値(6日)、1月卸売売上高(7日)、2月ADP雇用統計、1月貿易収支、1月JOLTS求人件数(8日)、週次新規失業保険申請件数(9日)、2月雇用統計(10日)、などが発表予定。パウエル議長は7日に上院銀行住宅都市委員会、8日には下院金融委員会での証言を予定している。

主要企業決算では、スポーツ関連アパレル小売りのディックス・スポーティング・グッズ、サイバーセキュリティサービスのクラウドストライク(7日)、食品会社のキヤンベルスープ(8日)、化粧品小売りのアルタ・ビューティ、電子署名のドキュサイン、衣料小売りのギャップ(9日)、ソフトウエアメーカーのオラクル(10日)、などが予定されている。化粧品関連は引き続き強い需要が見られ、アルタ・ビューティの強い決算に期待したい。自動車メーカーのGEは9日にインベスターデーを予定している。テスラを追い抜くとの計画を示した電気自動車生産を巡る方針に注目だ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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