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【材料】自動車向け半導体メーカーへの見方は様々=米国株個別

 自動車産業へのエクスポージャーが高い半導体メーカーの昨年の株価は下落こそしたものの、最もパフォーマンスの高いハイテク銘柄の1つとなった。しかし、今年は景気減速により自動車への需要落ち込みが予想される中、状況はかなり悪くなることが警戒されている。

 昨年のフィラデルフィア半導体指数(SOX)は約36%下落したが、パフォーマンスの上位3社はアナログ・デバイセズ<ADI>、オン・セミ<ON>、テキサス・インスツルメンツ<TXN>で、指数ほどきつい下げにはなっていない。いずれも自動車メーカーから相当な売り上げを得ている。

 自動車業界は電気自動車(EV)への移行が進み、その高度なシステムには従来の内燃機関よりも多くの半導体が必要とされる。そのため、上記の半導体メーカーはさらに恩恵を受けてきたが、EV市場は成長鈍化の兆候を見せており、特にテスラ<TSLA>は3四半期連続で販売台数が予想を下回るという結果を報告している。

 しかし、それらの半導体メーカーはいまのところ自動車関連需要に明るい見方を示している。テキサス・インスツルメンツは10月に、期待外れだった第4四半期の業績見通しの中で、自動車市場を唯一の明るい話題として取り上げていた。また、マイクロン<MU>も12月の決算説明会で「マクロ環境は自動車市場に不確実性をもたらしているが、2023年度には自動車用メモリ需要が堅調に伸びると見込んでいる」と述べていた。

 しかし、アナリストの間では、自動車用半導体の需要は、パンデミック時に部品不足で生産が滞ることを恐れた自動車メーカーが在庫の積み増しを急いだために、人為的に支えられたのではないかという疑問が広がっている。一部のアナリストは「他の分野と同様に、自動車メーカーが手持ちの未使用分の在庫が十分過ぎるほど積み上がっていることを想定すれば、自動車用半導体の需要は期待したほど伸びないだろう」と述べていた。

 一方、米自動車販売はまだ拡大する可能性が高いとの前向きな見通しも出ている。データセンターやPCなど需要が低迷している他の半導体企業とは対照的。想定以上の景気後退で自動車販売が激減すれば、半導体メーカーは影響を受けると思われるが、いまのところ自動車販売に影響は出ていない。そのため、突然の急減速を見ることはなさそうだとの指摘も出ている。

4日終値
アナログ・デバイセズ<ADI> 165.91(+3.46 +2.13%)
オン・セミ<ON> 62.20(+0.59 +0.96%)
テキサス・インスツルメンツ<TXN> 169.17(+5.96 +3.65%)
マイクロン<MU> 54.20(+3.83 +7.60%)

テスラ<TSLA> 113.64(+5.54 +5.12%)
フォード<F> 12.01(+0.33 +2.83%)
GM<GM> 34.69(+0.87 +2.57%)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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