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【市況】ドルが急伸 改めてタカ派な印象を再確認 リスク回避のドル買いも=NY為替前半

 きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが強まり、ドル円は138円付近まで急上昇している。米株式市場でダウ平均が800ドル超急落しており、リスク回避のドル買い圧力も加わっているようだ。

 前日は、FOMCの結果とパウエル議長の会見を受けて目まぐるしい動きが見られた。FOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)では、今回の利上げサイクルのターミナルレート(最終到達点)は23年に5.00-5.25%が示唆され、23年の利下げは想定していないことが示された。19名の委員のうち7名は5.25%よりも上の水準を予想していた。パウエル議長の会見でも「しばらくは制限的な政策スタンスが必要」と、これまで通りのタカ派姿勢を堅持していることが示された。

 ただ、その時のドルの反応は、一旦買いが強まったものの、終盤に戻り売りに押されていた。きょうは改めてタカ派な印象を再確認しているのかもしれない。

 今回の利上げサイクルも8合目まで来ており、来年から頂上をアタックという段階に入るのであろう。これまでのような加速度的な登りではなく、歩みを短くして慎重にアプローチして行くものと思われる。来年の利上げスピードは0.50%ポイントもしくは通常の0.25%ポイントに戻るとみられているようだ。

 ユーロドルは上に往って来いの展開。この日のECB理事会とラガルド総裁の会見を受けてユーロドルは一旦買いが加速し、1.0735ドル付近まで急上昇した。ただ、きょうの為替市場はドル買いが強まり、ユーロドルは買いが一巡すると1.05ドル台に急速に伸び悩んでいる。

 ただ、本日のECB理事会は予想以上にタカ派な印象となった。市場では、先日のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が予想を下回っていたことから、タカ派色が和らぐとの見方も出ていた。

 ECBは予想通りに0.50%ポイントの利上げを打ち出したが、来年のインフレ見通しを上方修正した上で、追加利上げを示唆した。「金利はまだ安定したペースで大幅に上昇する必要ある」としている。さらにラガルド総裁は会見で「一定期間の0.50%ポイントの利上げ継続を見込むべき」と述べ、ユーロ買いを加速させていた。

 今回のECB理事会を受けて短期金融市場では、ECBは来年の上半期までに中銀預金金利をあと計1.25%ポイント引き上げ、ターミナルレート(最終到達点)の見通しを3.25%に引き上げている。

 ポンドは急落し、ポンドドルは1.21ドル台まで急落している。200日線が1.21ドルちょうど付近に来ており、明日以降、試しに行くか注目される展開。

 きょうは英中銀金融政策委員会(MPC)が開催され、市場の予想通りに0.50%ポイントの利上げを打ち出した。ただ、委員の投票行動が3つに別れ、ベイリー総裁を含む6人が0.50%ポイントの利上げを支持。マン委員が0.75%ポイント利上げ、テンレイロ、ディングラ両委員は据え置きを主張した。

 ベイリー英中銀総裁は「インフレはピーク過ぎた可能性に言及したう上でリスクは上振れ」とし、議事要旨では、英経済はリセッションに入り、第4四半期は0.1%のマイナス成長を見込んでいた。

 本日のMPCに対して市場は、FRBやECBとは逆に、ハト派な印象を強めたようだ。来年も追加利上げを想定してはいるものの、利上げ幅は通常の0.25%ポイントに縮小して続けるとの見方が優勢となっている模様。短期金融市場でもターミナルレート(最終到達点)の見通しを下方修正されており、来年8月までに政策金利の見通しを4.58%程度に修正している。発表前は4.68%程度だった。

※前日のニュースで一部、FOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)の23年末の中央値を5.175%と表記していました。正しくは5.125%です。お詫びして訂正致します。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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