【市況】明日の株式相場に向けて=急騰株相次ぐ!「半導体祭り」次の狙い筋は
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
全体指数は冴えを欠いたものの、個別株は半導体関連セクターに人気が集中、にわかに鉄火場の様相を呈してきた。連日にわたり目を見張る売買代金をこなし、大底から立ち上がったレーザーテック<6920>が号砲を響かせたともいえるが、半導体関連もしくはその周辺株には長い眠りから目覚めたようなハイパフォーマンス銘柄が続出している。
市場では、半導体株の空売りを主導したヘッジファンド大手ブリッジウォーターが手仕舞いを急いでいるという観測も出ていたが、その背景には「ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが台湾の半導体受託生産最大手であるTSMC<TSM>株の新規取得を明らかにしたことが衝撃的だった」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘がある。世界株市場において大いなる存在感を示すブリッジウォーターも、更に巨大な鯨のようなバークシャー・ハサウェイが、背後で半導体主力株に資金を入れ始めたとあっては、とりあえずここが潮時とみたのかもしれない。
個別株に視線を移してみる。前日も取り上げたシキノハイテック<6614>だが、きょうは一時400円を超える急騰を演じた。株価は直近2営業日で何と30%高という強烈な上げ足を披露した。同社株は空売りのできないいわゆる片道信用銘柄だが、外資系絡みの貸株調達で積み上げたショートポジションの“踏み上げ誘導”も作用したと思われる。この踏み上げによる急騰相場の演出は、前例としてはSiC材料用マルチワイヤーソーで我が世の春を謳歌するタカトリ<6338>がその典型であり、LSI設計・開発を手掛けカメラモジュール技術に強みを持つシキノハイテックもその初動にある可能性がゼロではない。同社はソシオネクスト<6526>と第4世代通信モジュールなどで協業体制を築いていることも、中期的な株高シナリオを側面支援する材料となる。
このほか、半導体関連の中小型株は長い調整局面で力を蓄えたものが多く、それだけ上値余地も期待できる銘柄が多いように思われる。壮大なる大出直り相場と銘打つにはさすがに気が早いが、これが仕切り直しの第1幕であったとしても、それなりに値幅効果は期待できる。ファンダメンタルズではなく需給優先、陰の極からの反転に際し理屈は後からついてくるのが株式市場の常でもある。ここにきてインバウンド関連株に回っていた資金が挙(こぞ)って半導体の出遅れにシフトしてきていることは確かなようだ。
個別では、受託開発を主力としキオクシア向け大型案件で成長加速が期待されるティアンドエス<4055>に注目。また、半導体向けラップ盤で設備投資需要を捉える浜井産業<6131>、半導体製造装置向け直動案内機器で実績の高い日本トムソン<6480>は要マークとなる。また、ここ動兆しきりだが、DRAMやシステムLSIのテスト工程受託を展開するテラプローブ<6627>や半導体製造装置用の電子制御装置を製造するアバールデータ<6918>なども面白い存在となる。更に半導体関連の樹脂材料を生産するダイセル<4202>や半導体メモリー製品の製造販売を手掛けるAKIBAホールディングス<6840>にも目を配っておきたい。前日に取り上げたミナトホールディングス<6862>やC&Gシステムズ<6633>なども引き続き上値が期待できそうだ。
あすのスケジュールでは、9月の機械受注統計(及び10~12月期の機械受注見通し)が朝方取引開始前に発表されるほか、9月の第3次産業活動指数が後場取引時間中に開示、取引終了後には10月の訪日外国人客数が発表される。海外では10月の中国70都市新築住宅価格動向、9月の英失業率、10月の英消費者物価指数(CPI)のほか、10月の米小売売上高、10月の米鉱工業生産、11月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数などにマーケットの注目度が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS