【市況】明日の株式相場に向けて=利上げドミノの終着点を読む
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
今週はGAFAM、いわゆるアルファベット<GOOGL>、アップル<AAPL>、メタ・プラットフォームズ<META> 、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>などITの巨人たちの決算発表ウイークであったが、内容は予想された通りとはいえ芳しいものではない。決算通過後に株式市場でも売りの洗礼を浴びている。きょうのアップルとアマゾンの決算がどうなるかだが、おそらく好決算は期待できそうもない。株価も事前コンセンサスとの兼ね合いとはいえ、下に振らされる可能性が高そうだ。
しかし、注目すべきは今の米国株市場でGAFAMショックが起こっていないという事実だ。これまではGAFAMの一角が、例えば1銘柄が単独で大きく売られただけでも、グーグル・ショック、アマゾン・ショック、アップル・ショックなどと喧伝され、全体相場に負の連鎖が及んだ。前日はアルファベットが9%を超える急落、マイクロソフトも7.7%安といずれも大幅に水準を切り下げたが、ナスダック指数はともかく、NYダウは小幅プラス圏で着地するなどマーケットは涼しい顔をしている。ショートポジションを積み上げていた向きは失望したはずだ。1日遅れてメタの決算発表も行われ、こちらは時間外で急落した。だが、米株価指数先物の値動きをみる限りは、やはりどこ吹く風である。
残るはアップルとアマゾンの決算だが、仮にこの2つの牙城を崩しても全体相場が動揺しないとすれば、米国株市場はもはや鉄の要塞と化しているということを売り方は認識せざるを得ないことになる。このほか、同日にインテル<INTC>の決算も予定されており、こちらは目先底入れ気配をみせ始めた半導体セクターの試金石。指数でいうならフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)にどの程度のインパクトを与えるのか、今後の半導体関連の出直り相場を占う意味でも決算内容とその後の株価の動きを見ておく必要がある。
金融引き締めが経済実勢に影響を及ぼすには半年程度のタイムラグがあるとされる。とすれば、ここ最近の世界的な金融引き締めラッシュは来年の世界経済に下方圧力を加えることは必至。米国がリセッションに陥るとは断言できないが、それに近い形での急ブレーキは不可避であり、株式市場の見地では「逆業績相場」のトンネルを一度はくぐらねばならないだろう。ただし、今の株式市場は金利の動向とリンクしている。これが重要である。
前日にカナダ中銀が政策金利を発表したが、引き上げ幅は大方が予想していた0.75%ではなく0.5%だった。「追加利上げは示唆されたものの、このタイミングでの利上げピッチの減速は紛れもなくサプライズだった」(生保系エコノミスト)とする。当然ながら、来週行われるFOMCにも影響を与えるとの思惑が働く。今回のFOMCで0.75%の利上げ決定についてはほぼ確定的。しかし、12月は0.5%である可能性が高まってきた。そして今考えられるシナリオはもう一つあって、市場関係者によると「12月にも0.75%の引き上げを実施する代わりに、ここで利上げ打ち止めとする案も取り沙汰されている」(ネット証券マーケットアナリスト)という。どちらに転んでもマーケットにはポジティブである。一方、ECBについては利上げ開始時期が遅かった分、打ち止めの時期は後ずれするが、これはマーケットも十分承知している。そして日銀だけは“異次元”だが、あすの決定会合後の黒田総裁の記者会見は、為替と株に何らかの波紋を投じる可能性がある。
あすのスケジュールでは、9月の失業率、9月の有効求人倍率、10月の都区部消費者物価指数(CPI)、日銀金融政策決定会合の結果発表と黒田日銀総裁の記者会見など。また、東証グロース市場にpluszero<5132>が新規上場する。海外では7~9月期独GDP、7~9月期仏GDP、ロシア中銀の政策金利発表、9月の米個人所得・消費支出、9月の米仮契約住宅販売指数など。国内主要企業の決算発表では、TOTO<5332>、日立製作所<6501>、NEC<6701>、キーエンス<6861>、デンソー<6902>などがある。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年10月27日 18時25分