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【特集】山内俊哉氏【懸念材料覆し、東京市場9月相場で反転なるか】(2) <相場観特集>

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

―新型コロナのデルタ株感染拡大や政局不安の影響を読む―

 23日の東京株式市場は日経平均株価が急反発に転じたが、依然として不安定な地合いが続きそうだ。前週はリスク回避ムードの強い週で週末に一時2万7000円台を割り込むなど下値模索の動きが加速した。新型コロナウイルスのインド型変異株(デルタ株)の拡大が懸念されるほか、菅政権の支持率低下で政局不安も取り沙汰されている。こうしたなか、9月相場はどういう波動を描くのか。株式市場の見通しについて東洋証券の大塚竜太氏、為替の見通しについては上田ハーローの山内俊哉氏にそれぞれ話を聞いた。

●「状況不透明でテーパリング決定は先送りも」

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

 米連邦準備制度理事会(FRB)によるテーパリング(量的緩和縮小)の行方を巡り、今週27日のジャクソンホール会議、そして来月21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が市場の関心を集めている。

 7月開催分のFOMC議事録は、テーパリングに向けて前向きな内容だったことから、早ければ9月のFOMCにも緩和縮小が決定されるとの見方が浮上した。しかし、今月から来月にかけて、パウエルFRB議長からテーパリングに向けた明確な姿勢は打ち出されない公算が高まっていると思う。

 足もとでは新型コロナウイルス変異種(デルタ株)の感染拡大のペースが速まっている。また、直近の米消費者物価指数や米小売売上高も強い内容ではなく、米景気にピークアウト観測も出ている。中国景気にも不透明感が漂う。来月の米雇用統計などを確かめる必要があるが、現在の状況では9月にかけては明確な方針は示されないのではないか。足もとでは、11月FOMCでのテーパリング決定、12月開始が市場のコンセンサスとなっているとみており、実際、その予想の通りとなるかが注目される。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場は1ドル=108円50~111円00銭前後を予想する。中心となるレンジは、109円00~110円50銭前後で、若干の円高トレンドを予想する。

 ユーロは、対ドルでは1ユーロ=1.15~1.18ドル、対円では1ユーロ=125円00~130円00銭前後を見込んでいる。欧州中央銀行(ECB)が金融政策の現状維持姿勢を示すなか、ユーロ安基調が予想される。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)
上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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