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【市況】明日の株式相場に向けて=7月相場の個別株戦略を考える

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 名実ともに7月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比84円安の2万8707円と4日続落となった。全体相場は売買代金も低調で今週に入り2度目の2兆円割れとなった。夏枯れ相場というにはまだ早いが、今はさながら梅雨只中の風情で薄商いのなかシトシトと地味に下げる展開が続いている。

 個別株は全体指数とは裏腹にハイボラティリティーな値動きが目立つが、直近で利食い圧力が意識されやすい時間帯に入っており「上がれば下がる」の「下がる」方のパターンに移行している銘柄が増えてきた。本来であれば全体相場が冴えない時ほど強い株につけというのがセオリーながら、今は高い位置にいるほど向かい風が強く“野中の一本杉”を見つけてそれを倒しに行くような地合いとなっている。

 例えば、今の個人投資家の体感温度を表しているものに信用評価損益率がある。ネット証券大手のデータによると、個人投資家の主戦場であるマザーズ市場では、評価損益率がマイナス15%強と、投げが出るほどではないが結構厳しい状況に陥っているようだ。これが東証1部を含めた全体でみるとマイナス7%弱で、個人マネーはほとんどダメージを受けていないように見えるのだが、中小型株の短期トレード組は足もと回転が効いていないというのは事実のようだ。

 東証マザーズ指数の値動きなどをみるときょうは安かったものの、6月下旬からはほぼ一方通行に上がっており、25日・75日移動平均線のゴールデンクロスが接近しているようなむしろ強気優勢の状態にある。しかし、需給悪の実態は指数に先行している。市場関係者によると「6月のIPOラッシュが悪い方向に傾いた。公開価格割れの銘柄が相次ぎ、個人投資家の資金の流れを滞らせている。また、マザーズ時価総額上位の銘柄もメルカリ<4385>のように好調なものもあるが、ビジョナル<4194>やAppier Group<4180>など比較的上場して間もない銘柄でハマってしまっている投資家が少なくないようだ」(ネット証券アナリスト)とする。晴天とはいわないまでも悪天候には程遠い相場環境のように思えるが、実際はかなり舵取りが難しい局面といえる。

 直近IPOでも高値圏から押しを入れ値ごろ感の生じている銘柄は逆に狙い目となる。やみくもに下がったものに買い向かうのではなく、ビジネスモデルに成長性があり、業績変化率の高いものに照準を合わせてみたい。例えば前週24日にマザーズに上場した携帯電話のネットワーク構築・運用保守を手掛けるベイシス<4068>。同社はIoTを成長ドライバーに21年6月期はトップラインが5割近い伸びを見込み、営業利益は2.7倍化を見込んでいる。

 また、同じくマザーズ市場に上場するブリッジインターナショナル<7039>はインサイドセールスで法人営業を支援するが、21年12月期はやはりトップラインが53%増の55億9000万円と1.5倍化を予想。営業利益も2ケタ成長を確保する見通し。高値からひと押し入れたところは買い場となっている可能性がある。

 マザーズ以外では東証2部銘柄のアップルインターナショナル<2788>。コロナ禍でも国内外で中古車市場が好調であり同社の21年12月期業績は大幅に上方修正される期待が大きい。有配企業にしてPBRは0.6倍台。300円絡みであれば、強気対処が可能と思われる。

 東証1部銘柄では、更に株価低位の200円近辺でもみ合うインプレスホールディングス<9479>に着目。同社は出版を祖業とするが、IT関連書籍に強く最近はデジタルメディアに軸足を移している。同社も今期業績(22年3月期)は増額含みで、この水準なら中期スタンスで拾っておいて成功する公算が大きい。業界再編の思惑で注目される自動車部品関連株では芦森工業<3526>。業績が急回復基調にあるほか、5月に豊田合成<7282>と資本業務提携したことで業容拡大に加え、株式需給面での思惑がある。

 あすのスケジュールでは、6月のマネタリーベース、6月の財政資金対民間収支など。海外では、6月の米雇用統計が注目されるほか、5月の米貿易収支、5月の米製造業受注などの発表も予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2021年07月01日 17時42分

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