【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):イグニス、武田、日本製鉄
イグニス <日足> 「株探」多機能チャートより
イグニス<3689>がストップ高。前週末5日の取引終了後、MBOの一環として、普通株式と新株予約権についてTOBを実施すると発表しており、普通株のTOB価格である3000円にサヤ寄せする格好となった。銭(せん・こん)社長や代表取締役CTOの鈴木貴明氏、米投資ファンドのベインキャピタルが出資するi3(東京都千代田区)が同社の非公開化を目指して行うもので、買付予定数は876万1149株(下限・上限設定なし)、買付期間は3月8日から4月19日までとしている。TOB成立後、イグニスは所定の手続きを経て上場廃止となる予定で、この発表を受けて東京証券取引所は、同社株式を3月5日付で監理銘柄(確認中)に指定している。
■宮越ホールディングス <6620> 1,109円 +150 円 (+15.6%) ストップ高 本日終値 東証1部 上昇率トップ
宮越ホールディングス<6620>がストップ高。きょう付けで自社サイトのトップメッセージを更新し、「2030年に時価総額1兆円 少数精鋭のエクセレントな投資会社へ飛躍」としたことが好材料視された。長期戦略の第1号大型投資案件として、中国・深セン市に計画している都市開発プロジェクトのワールド・イノベーション・センター(WIC)を予定。また、数年内に中国当局との歴史的な友好関係を武器に同国における投資拡大を検討するとしている。
■アイル <3854> 1,758円 +191 円 (+12.2%) 本日終値 東証1部 上昇率2位
アイル<3854>が5日ぶりに急反発し一時、前日比13.5%高の1778円に買われた。前週末5日の取引終了後、21年7月期連結業績予想について、売上高を123億5000万円から127億2300万円(前期比0.3%増)へ、営業利益を12億円から16億円(同5.9%減)へ、純利益を7億8400万円から10億4600万円(同12.0%減)へ上方修正し、あわせて12円を予定していた年間配当予想を15円に引き上げたことが好感された。2度目の緊急事態宣言による業績への影響が想定を下回る見込みとなることに加えて、リモートワークやオンラインでの社内外会議を推進し業務効率化を図ることが可能となり、業績に貢献するとしている。なお、第2四半期累計(20年8月~21年1月)決算は、売上高65億9600万円(前年同期比5.2%減)、営業利益9億5400万円(同22.2%減)、純利益6億3500万円(同21.5%減)だった。
■三櫻工業 <6584> 1,071円 +69 円 (+6.9%) 本日終値
三櫻工業<6584>が上昇加速、5日移動平均線を足場に一時72円高の1074円と値を飛ばした。自動車用チューブや配管部品を手掛け、独立系ながら商品シェアで群を抜いている。米中をはじめとする世界的な自動車販売需要の回復が同社の業績面に追い風となり、21年3月期第3四半期単独(20年10~12月)では営業利益段階で前年同期比2.7倍という高変化をみせ31億4300万円を稼ぎ出した。これにより4~9月期までの24億8000万円の赤字を払拭し更に6億6300万円を上乗せした。「同社株に対するマーケットの見方も変わっているが、株価面では既に22年3月期の業績V字回復を買う流れにある」(中堅証券アナリスト)状況だ。出資先企業による全固体電池分野への展開力も株高思惑を助長している。
■ソースネクスト <4344> 326円 +16 円 (+5.2%) 本日終値
ソースネクスト<4344>が5日ぶりに急反騰。株価は一時、前週末に比べ9%高に買われた。岩井コスモ証券は5日、同社株の投資判断を新規「A」でカバレッジを開始した。目標株価は450円に設定した。AI(人工知能)通訳機「ポケトーク」の低迷を受け、同社の株価は軟調に推移しているが、同証券では割安とみており、投資妙味が大きいと指摘。アップデートによって魅力が向上しており、海外旅行の回復があれば圧倒的シェアを握るポケトークの急回復が見込めるとみている。更に、ポケトークで得たノウハウが無形資産となって企業価値を高めている点も評価している。
■ニッタ <5186> 2,613円 +126 円 (+5.1%) 本日終値
ニッタ<5186>が大幅高で4日続伸。前週末5日の取引終了後、自社株買いを実施すると発表したことが好感された。上限を45万株(発行済み株数の1.57%)、または16億円としており、取得期間は3月8日から5月31日まで。資本効率の向上や株主還元の強化を目的とした資本政策の遂行を可能とすることが目的という。
■国際石油開発帝石 <1605> 848円 +37 円 (+4.6%) 本日終値
国際石油開発帝石<1605>や石油資源開発<1662>、ENEOSホールディングス<5020>が高い。5日の米原油先物相場はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の4月限が前日比2.26ドル高の1バレル=66.09ドルに上昇。特に、この日の時間外取引で一時67.86ドルと18年10月以来、2年5カ月ぶりの高値圏に値を上げた。米2月雇用統計が市場予想を上回り米景気回復に対する期待が強まった。また、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が7日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの主要輸出施設などに向けてドローンやミサイルを発射した、と伝えられており中東情勢への懸念から原油価格が上昇している。
■オンワード <8016> 297円 +12 円 (+4.2%) 本日終値
オンワードホールディングス<8016>が4日続伸。前週末5日の取引終了後、イタリア子会社が保有するブランド「ジル・サンダー」をイタリアのアパレル大手であるOTBに売却すると発表しており、これが好感された。新型コロナウイルス感染症の影響で海外事業の経営環境が悪化するなか、不採算となっていた事業を整理し、成長分野に対する経営資源の集中を一段と進めるのが狙い。譲渡価額は非開示で、3月中に株式譲渡を実施する予定。なお、同件による影響は22年2月期に計上される。
■武田薬品工業 <4502> 3,905円 +147 円 (+3.9%) 本日終値
武田薬品工業<4502>が買い人気を集め3日ぶり反発。前週後半は調整色をみせたものの3月に入ってからの上げ足の速さが際立っている。同社は前週末5日取引終了後、米モデルナの新型コロナウイルス感染症メッセンジャーRNAワクチンの輸入及び日本での製造販売承認を申請したことを発表、これが足もとの株価を刺激している。これが承認されれば、同社は2021年前半から5000万回接種分を国内で順次供給する予定にあり、新型コロナウイルス克服に向けた思惑が一段と膨らんでいる。
■日本製鉄 <5401> 1,758円 +56.5 円 (+3.3%) 本日終値
日本製鉄<5401>がマドを開けて買われ、昨年1月20日の高値1747.5円を上回り、約1年2か月ぶりに昨年来高値を更新した。ここ世界的に新型コロナウイルス収束への期待を背景とした経済回復への思惑が高まりをみせた。特に米国ではバイデン政権下で1兆9000億ドル規模の大型追加経済対策が現実化の方向となり、景気を強く刺激するとの見方が強い。同社株をはじめ鉄鋼セクターはグローバル景気敏感株としての側面から買いを引き寄せている。
株探ニュース