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【市況】米国株式市場見通し:VIXパンデミック前の20割れ回復で買い安心感


警戒されていたインフレ急伸懸念が後退しつつあるほか、長期にわたり大規模金融緩和策を維持するFRBの方針も引き続き相場を支えそうだ。さらに、バイデン大統領は製薬会社ファイザーやモデルナのワクチンを1億回分追加契約し、国民に十分なワクチン供給分を確保したと発表。経済活動再開の鍵を握るワクチン普及ペースの加速期待も景気循環株の上昇に拍車をかけるだろう。投資家の恐怖心理を示すVIX指数もパンデミック後初めて20を割り込み買い安心感に繋がる。世界的な半導体不足に対処する政府の方針も、引き続き半導体関連株を支えそうだ。

バイデン政権、民主党は共和党の支援なく、最低賃金15ドルへの引き上げを含めた1.9兆ドル規模の追加経済対策を成立させるべく準備を進めている。大規模な経済対策が近く成立する可能性は目先の景気回復ペースの加速期待を後押しし更なる相場支援材料となりそうだ。

ゲーム販売のゲームストップなどの株価乱高下を受け、下院金融サービス委員会は18日に、株式取引プラットフォームのロビンフッド、空売り投資による損失で閉鎖の危機に直面したヘッジファンドのメルビン・キャピタル、およびシタデル・セキュリティーズの幹部を招き公聴会を予定している。今後、金融規制強化などに繋がる可能性には警戒したい。なお、15日はワシントン大統領誕生記念日の祝日で休場となる。

経済指標では、2月ニューヨーク連銀製造業景況指数、12月対米証券投資(16日)、1月生産者物価指数(PPI)、1月小売売上高、1月鉱工業生産・設備稼働率、NAHB住宅市場指数(17日)、1月住宅着工件数・建設許可件数、週次新規失業保険申請件数(18日)、1月中古住宅販売件数(19日)、などが予定されている。特に1-3月期の成長を左右する消費動向を探るため1月小売売上高に注目したい。追加刺激策が奏功し9月以降4カ月ぶりにプラス回復が予想されている。そのほか、FRBは本年始めて開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を17日に公表する。FRBはこの会合で市場の予想通り大規模な金融緩和策を維持することを決定した。議事録で引き締めに転じるのは当分先になることが改めて表明されると、さらに相場を押し上げるだろう。

企業決算ではヘルスケアのCVS(16日)、エネルギーのマラソンオイル、ホテルチェーンを運営するヒルトンワールドワイド、ハイアット(17日)マリオット(18日)に加え、動画配信のロク(18日)、ディスカウント小売りチェーンのウォールマート、オンライン旅行検索サービス会社のトリップアドバイザー(18日)、クルーズ船を運営するロイヤル・カリビアン、ノルウェージャン・クルーズ(19日)などが予定されている。

新型コロナウイルスの感染再拡大で経済活動が再び制限され、また、世界各国で入国規制が強化されたためホテルの業績は再び悪化した可能性に警戒が必要だ。さらに、クルーズ船の運営再開もめどが立たず、運営会社の赤字拡大にも警戒したい。一方で、在宅が継続する中、需要急増でロクなどハイテク関連の強い決算に引き続き期待したい。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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