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【特集】世紀の大激戦「米大統領選」の結末は、トランプ氏優勢の状況強まる <株探トップ特集>

世界が注視する「米大統領選」は、予想に反してトランプ大統領の情勢が優勢に推移した。不透明要因は残るが、市場には「結果が迅速に決まること」を期待する声が強まっている。

―4年前の再現の可能性高まる、選挙後の追加経済対策と株高に期待感―

 「世紀の決戦」と呼ばれた米大統領選は、日本時間4日(米国時間3日)に投開票が行われた。共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン候補の一騎打ちとなった今回の選挙は大激戦となり、手に汗握る展開となった。ただ、トランプ氏は激戦州のフロリダ州などで勝利し、同氏が優勢の展開となった。市場には「4年前の大逆転勝利の再現」との声も強まっている。最終的な結果にはなお時間がかかることも予想されるものの、トランプ氏優勢のなか市場には「決着さえつけば年末に向け株高は期待できる」との声も出ている。

●序盤はバイデン氏勝利の期待で日経平均上昇

 この日の日経平均株価は2日終値に比べ300円強の上昇でスタートした。前日3日のNYダウが554ドル高と急伸。民主党のバイデン候補の優勢観測が続くなか、財政出動への期待が高まった。このNYダウの上昇に連動する格好で、日経平均株価は値を上げてスタートし、一時は500円を超える上昇となった。東京市場は、世界の主要マーケットで真っ先に米大統領選を織り込む形で取引されるため、選挙速報を横目で睨みながらの展開となった。

●トランプ氏優勢で後場に入り一転、勝利者の基軸が変わる

 序盤戦はバイデン氏がリードとなり、日経平均株価も堅調に推移した。ただ、激戦州のフロリダ州はトランプ氏が優勢と報じられると午前11時過ぎに、一時NYダウ先物はマイナス圏に転じ、日経平均株価の上昇幅は縮小し前場は330円高で取引を終えた。

 しかし、後場に入ってから日経平均株価は500円を超す上昇に跳ね上がった。フロリダ州に加え、ジョージア州、ノースカロライナ州といった激戦州がトランプ氏優勢で推移しているとの観測が強まったことから、「トランプ氏勝利の目が出てきたことをマーケットはプラス評価し始めた」(市場関係者)という。前場はバイデン氏勝利に期待したが、後場は一転してトランプ氏に勝利の目が出てきたものの、株式市場はそのどちらも前向きに受け止めた格好だ。結局、この日の日経平均株価は2日終値に比べ399円高で取引を終えた。

●「混乱なく選挙結果が出ること」を市場は評価

 「マーケットが一番嫌がっていたのは、いつまでも結果が分からないこと。しかし、トランプ氏優勢で早期決着の可能性が出てきた。バイデン氏が勝ってもトランプ氏が勝っても、迅速に選挙の結果が出れば、それを市場は好感するということだろう」と第一生命経済研究所の首席エコノミストである嶌峰義清氏は指摘する。「バイデン氏とトランプ氏のどちらでも株価の上昇は見込める。ただ、どちらの方が長期的にみて株価の上値余地が大きいかというと、増税懸念や新型コロナウイルス感染拡大による経済自粛の懸念が少ない分だけ、トランプ氏の方を市場は好むのだろう」と同氏はみている。

●GAFA買い・バリュー株売りへポジションの巻き戻しも

 ただ、郵便投票の結果を確かめる必要があり、ペンシルベニア州などの結果が判明するには時間がかかる。このため、日本時間の夕方時点で最終的な勝者の確定はされていない。また、トランプ氏が票の集計を巡り「最高裁判所に訴えを起こす」と語ったことも警戒され、夕方にかけNYダウ先物は下落した。

 そんななか、フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は「トランプ氏の優勢は覆らないだろう」とみている。更に、「議会選で上院を共和党と民主党のどちらが取るかは気になる。共和党が上院を抑えれば、大統領と議会はこれまでと変わらない構図となる。この場合、財政拡張がやや抑えられるなかGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)的なグロース株が買われそうだ。上下両院ともに民主党となった場合、財政拡張の政策が通りやすくなり、長期的にはインフレへの警戒感も出るなか、バリュー株が買いやすくなるのではないか」と物色の変化を予想している。

●再生可能エネルギー株などの押し目は拾い場に

 また、前出の嶌峰氏は「選挙後は米国で追加経済対策がまとまる可能性がある。この安心感から先行き、日経平均株価は2万4000円を意識する展開が見込めるかもしれない」と予想する。市場には民主党のバイデン氏が敗北した場合、「いったんはバリュー株買い・グロース株売りのポジションは巻き戻しがあるのでは」との声がある。このため、しばらくはGAFAが買われ、バリュー株は売られやすい地合いが続くかもしれない。米国では規制強化が懸念されていたエネルギー株や金融株などが買われやすいだろう。また、環境関連やTPP関連株も売り優勢となる可能性も指摘されている。この日の東京市場では、トランプ氏の優勢を受け、ウエストホールディングス <1407> [JQ]やレノバ <9519> といった再生可能エネルギー関連株が売られた。

 ただ、SBI証券の鈴木英之投資調査部長は「環境重視の流れは止めようがないだけに、再生可能エネ関連株などが売られれば、そこは拾い場となると思う」と押し目買いを推奨する。また「トランプ氏が勝利した場合、短期的には株高が見込めるかもしれないが、米国の分断や民主主義の行方などをどう評価すればいいのか。また、2期目に何を残そうとしているのかも問われる。新型コロナ感染拡大への懸念も捨てきれない。短期的な動向はともかくとしても、中長期的には懸念材料にも目を向ける必要はあるのかもしれない」と指摘している。

株探ニュース

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