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【特集】日本版GAFAMを探せ! 本家の数字から浮かび上がった姿とは

大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第50回

方法は、単純にこれまでの分析の内容を現在の東証一部上場銘柄に適用するだけですが、一つだけ注意する点があります。
■日本版GAFAMの考え方
・過去と未来の成長性、適度なバリュエーション
・言語の弊害から、「マイクロ・プラットフォーマー」
 としての躍進を期待。
※マイクロ・プラットフォーマー
 限られた領域、消費者に対するプラットフォーマー
→ 成長はあるが賞味期限も短い?
出所:智剣・Oskarグループ

過去と未来の成長性、適度なバリュエーションについてはGAFAMの分析に使用した定義と同じです。

問題点は、日本株(日本企業)は、特に日本語と人口という要素が大きな制約となって、グローバル・プラットフォーマーになるのは極めて困難だということです。

つまり、顧客のパイが英語圏に比べて極端に小さいため、GAFAMのように巨大なビジネスを梃にした長期的な成長を前提とせず、限定された分野に特化したマイクロ・プラットフォーマーとしての成長期待にとどめておくべき、ということです。

具体的には、まず成長性とバリュエーションの条件を満たす銘柄として以下がその対象となります。時価総額が1兆円以上(10月12日終値時点)の銘柄を抜粋しています。

■日本版GAFAM(マイクロ・プラットフォーマー)候補 (時価総額1兆円以上)
銘柄名<コード> 時価総額 PER 増益率 業容
今期 5期先 5期先 過去
5年
キーエンス<6861> 12兆436億円 64.3 31.9 89% 64%
リクルートHD<6098> 7兆2926億円 52.1 24.0 64% 154% プラットフォーム全般
ファストリ<9983> 7兆3424億円 72.5 29.1 44% 118% ファストファッション
第一三共<4568> 6兆1482億円 95.2 29.9 56% 222%
HOYA<7741> 4兆5707億円 37.7 21.5 84% 39%
エムスリー<2413> 4兆6627億円 147.8 63.2 220% 111% 医療求人サービス
テルモ<4543> 3兆1444億円 44.8 24.9 45% 125%
エーザイ<4523> 2兆7803億円 40.3 17.2 34% 180%
アステラス<4503> 2兆7936億円 13.9 9.2 60% 69%
スズキ<7269> 2兆3895億円 29.5 12.7 31% 66%
NTTデータ<9613> 1兆8920億円 25.2 12.1 108% 134% IoT
キリンHD<2503> 1兆8280億円 24.2 13.6 116% 93%
オリックス<8591> 1兆8231億円 8.5 4.3 35% 32%
NEC<6701> 1兆6480億円 18.1 10.9 45% 75%
協和キリン<4151> 1兆4877億円 32.3 16.3 40% 329%
SOMPO HD<8630> 1兆4045億円 9.4 7.2 57% 152%
ダイフク<6383> 1兆4016億円 42.0 24.1 97% 152%
MonotaRO<3064> 1兆4110億円 99.5 48.1 148% 325% 工具プラットフォーム
日本M&A<2127> 1兆0782億円 87.1 41.8 131% 156% 事業継承、M&A仲介

出所:データストリーム 注:10月12日終値時点。一部銘柄名は簡易表記。並びは時価総額の大きい順。母集団は東証1部上場銘柄で、以下の条件を満たす銘柄を抽出。
「PER」は次の2つのいずれか1つを充足。 
 ①銘柄の5期先予想PERの市場超過プレミアム(銘柄のPER÷市場PER-1)が今期予想PERのプレミアムよりも小さい
 ②銘柄の5期先予想PERが市場の5期先PERよりも小さい
「増益率」は次の2つの条件を充足
  ①過去5年の純利益成長率が30%以上 ②期先5年の純利益成長率が30%以上
このリストのうち、太字で示した銘柄が、成長性とバリュエーションを満たしつつ特定の消費対象や分野をターゲットとするプラットフォーマー、またはその構築を支援する銘柄。



リクルートホールディングス<6098>は言わずと知れた幅広いサービスのプラットフォーマーであり、このフレームワークにおける日本株の大本命でしょう。

ファーストリテイリング<9983>は日本のファストファッションの先駆け、エムスリー<2413>は医療求人サイトという、ニッチながらも新しいプラットフォームを構築した立役者です。

以下、IoTでプラットフォーム化を支援するNTTデータ<9613>は置くとしても、B to B工具通販のMonotaRO<3064>、事業継承プラットフォームで躍進中の日本M&Aセンター<2127>などは極めて限られた分野のプラットフォーマーです。

こういった銘柄がまさに日本における当該領域の在り方の見本としてのマイクロ・プラットフォーマー候補として対象になる可能性があります。

本家GAFAMも含めて、足元は値動きの荒い展開が続いていますが、これらの銘柄の成長の賞味期限はまだ見えません。大きく下がったところで、リスクを取って押し目買いをするだけの価値は、まだまだ大きいように思います。

最後に、参考までに東証1部全体で定量的な条件を満たすの「マイクロ・プラットフォーマー候補」の一覧を添付しました。10月12日終値時点で時価総額が1兆円未満の銘柄になります。

上記の例を参考に、定性面を考慮してご自身で日本株の新たなプラットフォーマーを探すのも面白いかもしれません。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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