【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ “小物”を軸とする個別物色の展開に!
株式評論家 杉村富生
「“小物”を軸とする個別物色の展開に!」
●徐々に現金比率を高める戦術を推奨!
10~11月(秋)相場は個別物色の展開になる、と主張している。インデックス(日経平均株価、TOPIXなど)、および主軸株は“高値しぐれ”商状に陥るだろう。個人投資家のターゲットにはなりにくい。半面、東証マザーズ指数の新値追いにみられるように、“小物”はすこぶる元気である。ここが物色対象だろう。
さらに、キーエンス <6861> 、任天堂 <7974> 、日本電産 <6594> 、HOYA <7741> 、村田製作所 <6981> 、SMC <6273> 、ユニ・チャーム <8113> 、ニトリホールディングス <9843> などが採用されている日経500種平均は史上最高値圏(前述の銘柄は日経平均には不採用)にある。
マーケットではニューノーマル(低金利、低物価、低成長)時代の投資の主役を探そうとしている。メインは株式だが、将来的には通貨(ドル)不安が浮上、金(ゴールド)が買われるだろう。もちろん、グロース(成長株)がフィーバーとなるが、コロナショックに直撃されたバリュー(成熟株)の出直りが期待できる。
要するに、相場解析に際しては短期的な視点と長期的な視点を分け、投資戦術では短期・順張りと長期・逆張りを区別し、緩急をつけた手法が求められるということ。まして、11月3日のアメリカ大統領選挙の結果次第ではショック安がマーケットを襲う可能性があろう。
●ユニークな銘柄発掘法を紹介する!
だからこそ、ここは“小物”の小すくい作戦に際し、キャッシュ・ポジション(現金比率)を徐々に高めておくべきではないか、と考えている。万一の場合、「絶好の買い場なのは承知しているものの、銭(ゼニ)がありません」では困る。まさに、「鯨3文といわれても銭がなければ買えぬ」とか、「ないソデは振れないチャンチャンコ」といった状態である。
秋相場のテーマ、活躍期待株はどうか。まず、スガノミクスは中核テーマとなる。今回は菅首相の持論というべき地銀再編を取りあげておこう。 地銀の勘定系システムではNTTデータ <9613> がシェア4割を有する。アイエックス・ナレッジ <9753> [JQ]はNTTデータと協業している。
量子コンピュータはノーベル賞の選に漏れたが、引き続いて重要なイノベーションであることは間違いない。HPCシステムズ <6597> [東証M]はこの分野の第一人者だ。オンライン診療には電子カルテが必要不可欠である。この関連はソフトマックス <3671> [東証M]だ。株価は押し目買いのチャンスを迎えている。
さて、次にユニークな銘柄発掘法を紹介しよう。まあ、そんな大仰なものではないが…。まず、複数の調査機関が公表しているPTS(時間外取引)の値上がり率ランキングだ。このデータの上位に登場する(本市場では値動きが乏しい)銘柄は密かに玉を集めている“筋”の存在を意味する。最近のケースではYE DIGITAL <2354> [東証2]だろう。
ネット証券の信用貸株金利も参考になる。10月5日の適用分ではALBERT <3906> [東証M]が14%、GA technologies <3491> [東証M]が11%となっている。これは売り方(買いの予約)が多い一方、株券の調達が難しいことを示しているのではないだろうか。
2020年10月9日 記
株探ニュース