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【特集】桂畑誠治氏【日経平均久々の急反発、果たして流れは変わるか】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―新型コロナの感染拡大続くなか、為替動向も要注目に―

 週明け3日の東京株式市場は日経平均が急反発に転じた。例年8月は株式市場にとってパフォーマンスの悪い月だが、名実ともに8月相場入りとなったこの日、前週末の米株高を背景に自律反発局面に移行した。前週末までの6日続落で日経平均に突っ込み警戒感が出ていたことや外国為替市場で円安方向に振れたことなどがポジティブ材料となった。しかし、全体相場は依然として気迷いムードが強い。今回は、株式市場の見通しと為替市場の動向についてそれぞれ業界第一線で活躍するマーケット関係者に話を聞いた。

●「米景気改善はプラス材料も米中摩擦が重荷」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 全体相場はきょうの反発で下値に対する懸念がやや和らいだが、なかなか難しい地合いにある。新型コロナウイルスの感染者数に歯止めがかからない状況は続いているが、米国では感染者数の拡大スピードがやや鈍化傾向をみせており、米国経済の先行きに対する悲観が若干修正されたことで為替市場でもドルが買い戻されている。

 米国の経済指標もV字回復の可能性を完全に否定するものは出ておらず、日本時間の今晩発表される米ISM製造業景況感指数や5日に発表予定の米ISM非製造業景況観指数なども改善傾向を示す可能性が高い。また、マーケットからも注目度の高い7月の米雇用統計が週末7日に発表されるが、こちらも雇用の拡大基調は続き、失業率も低下するとみられる。したがって、経済指標からは米国株市場にとってプラスに作用する要素が大きそうだ。

 もっとも米中摩擦の問題が一段と深刻化していることは否めない。トランプ米大統領は11月の大統領選を意識して対中制裁を強める可能性が高い。中国に対する強硬路線をとることで、経済悪化や新型コロナ感染拡大の問題を中国に転嫁する意味もある。これが株式市場全体には重荷となる懸念は拭えない。

 一方、大統領選でバイデン前副大統領の勝利となった場合、株式市場にはネガティブと捉える向きは少なくないが、実際はそれほどの悪影響は出ないのではないか。バイデン氏が勝利すれば民主党は上院でも過半数の議席を押さえる可能性が高まる。上院下院のねじれ現象が解消され、政策の実行性が高まるためだ。

 こうしたことを横にらみに8月相場はやや上下にボラティリティが高まる可能性はあるが、一方向にはっきりとしたトレンドは出にくいとみている。秋口に向け日経平均は2万1000円から2万3000円のゾーンで推移しそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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