【市況】米国株式市場見通し:米中通商協議や経済指標に注目
9月2日はレイバー・デーの祝日で米国株式相場は休場となる。米中貿易摩擦の先行き不透明感で株式相場は乱高下する展開が続いている。9月1日に米中ともに追加関税措置を実施する予定となっているが、連休中に水面下で米中協議が行われるとの見方もあり、注意が必要だ。連休明けは出来高が回復すると共に、米中貿易交渉の見通しを素直に受けた相場展開となるだろう。また、今週は月初ということで多くの経済指標が発表を予定しており、米中通商協議の動向とともに注目が集まりそうだ。
8月23日の講演で世界経済の減速に懸念を示し、利下げに含みを持たせる発言をした、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、9月6日にチューリッヒで経済見通しと金融政策について討論する予定だ。9月17、18両日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)を前に当局者が金融政策についての発言を控えるブラックアウト期間の前日となるが、週を通じて主要済指標が発表されることもあり、利下げ見通しに何らかの示唆を得られるかが焦点となる。
決算発表では、アパレルのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(4日)、ネットワーク・セキュリティのパロアルト・ネットワークス (4日)、ビジネスチャットツールのスラック(4日)、通信機器のシエナ(5日)などが予定されている。パロアルト・ネットワークスの株価は、8月16日に営業部門の幹部の辞任が報じられてから軟調に推移している。決算発表を受けて投資家心理を改善できるか注目される。6月の直接上場後、初の決算発表となるスラックは、上場以降に株価が約26%下落しており、決算内容を注視したい。
経済指標では、8月マークイット製造業PMI(3日)、8月ISM製造業景況指数(4日)、7月建設支出(3日)、7月貿易収支(4日)、8月ADP雇用統計(5日)、7月製造業受注(5日)、8月ISM非製造業景況指数(5日)、8月雇用統計(6日)などの発表が予定されている。4日にはFOMCでの基礎資料となるベージュブック(地区連銀経済報告)の発表が予定されている。トランプ大統領がパウエルFRB長官を批判する一方で、多くの連銀高官からは利下げに否定的な見解が相次いでいる。9月のFOMCでの利下げが確実となるには、製造業関連指数や雇用統計の結果が大幅に悪化した場合だろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ