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【市況】明日の株式相場戦略=パウエル待ちの市場、個別は赤札買いと底値拾いの2ウェイ戦略

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(21日)の東京株式市場は、前日の米株安を受けて利食いを誘発する格好となった。米中摩擦への警戒感とそれに付随する世界景気の減速懸念。これについては毎度のように不安心理の「後退」と「再燃」を繰り返す。通過してはまた同じ風景に出くわすメリーゴーランドのようなもので、過度に神経質になる必要はない。目に映るものが明らかに見たことのない風景(悪材料)であれば話は別だが、米中摩擦に絡む話は8割方が後講釈というのは、過去の相場の経緯が証明するところだ。

 米株安に先立つ欧州株安の背景についてはイタリアの政局混乱が引き金となっているが、これについても「(イタリア政局の)ゴタゴタが今始まったわけではなく、その点ではブレグジットも一緒で、火種ではあるけれど、株式市場を悲観に染め上げるようなインパクトは持っていない」(国内証券アナリスト)という指摘が聞かれる。ただし、同じ地政学リスクでも香港デモの場合は根が深いとみる向きが市場関係者の間でも少なくないようだ。

 いずれにしても、きょうの東京市場は強かった。朝方に日経平均は先物主導で売り込まれたが、取引開始2分後(午前9時2分)にこの日の安値を形成、その後は漸次下げ渋る展開となり、取引終了1分前(午後2時59分)にこの日の高値をつけるという、絵に書いたような安値スタートの高値引けで、「売り方主導の底堅い相場」を演じた。もっとも、個別で見れば、東証1部の8割の銘柄が下落、業種別では33業種中32業種が下げるという地合いであり威張れたものではない。売買代金は3営業日連続で1兆5000億円台という超閑散が続いている。

 すべてはジャクソンホールでの国際経済シンポジウムで23日に行われるパウエルFRB議長の講演内容を見極めてから、ということのようだ。9月18日のFOMCでの利下げはほぼ確実視されているが、これが0.25%なのか0.5%なのかが当面のマーケットの最大の関心事で、パウエル発言に世界中の耳目が集まる。

 さて、個別株に目を向けると、引き続きゲーム関連株に対するマーケットの関心が高い。きょうはGameWith<6552>が続急騰、商い急増のなか高値引けとなり、一時は東証1部値上がり率トップに買われる人気となった。

 そしてもう一つの流れとして、インターネット周辺株、特にネット広告関連に資金が流れ込んでいる。社会全体のデジタル化が進展するなか、マーケティング分野も従来のネット活用という単元的なものではなく、コンサルティングとの融合で市場規模が巨大化していく気配がある。ここにも新たな潮流が発生している。

 そのなか“赤札”が際立つ銘柄を追ってみると、まずネットマーケティング<6175>。同社株は13日、14日と大きくマドを開けて水準を切り上げたが、その後も700円台前半で売り物を吸収し踊り場を形成、マド埋めに向かうムードは感じられず、上昇第2波に突入する可能性がありそうだ。また、アイモバイル<6535>も5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを尻目に株価は一気に75日線を突破。目先押し目があれば、そこは買い場と見ておきたい。

 強い株につけのセオリーに則って、もう1銘柄挙げるとすれば不動産情報サイトを運営するLIFULL<2120>。7日引け後の決算発表を契機に、つむじ風に巻かれるように上昇。決算自体は目を見張るような内容ではないが、浮動株が少なく株は需給という典型。週足チャートでみれば底値離脱の初動という見方もできる。これも押し目はマークしておきたい。

 バイオ関連は、きょうは鳴かず飛ばずであったが、秋の学会シーズンを前に遅かれ早かれ流れが来そうだ。メディシノバ・インク<4875>、ヘリオス<4593>などが大底圏から出直る動きをみせている。

 日程面では、あすは6月の全産業活動指数、7月の白物家電出荷額などが開示される。海外では、7月の米景気先行総合指数、8月の米製造業PMI速報値、8月の独PMI速報値及びユーロ圏PMI速報値が発表される。また、米ワイオミング州ジャクソンホールで国際経済シンポジウム(~24日)が開催され、そのなか、パウエルFRB議長の講演(23日)が焦点となる。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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