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【通貨】為替週間見通し:ドルは底堅い動きか、安全資産としての需要拡大の思惑も

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【先週の概況】
■米中貿易協議進展への期待でドル強含み

先週のドル・円は強含み。米国の長短金利差は逆転したことから年内利下げ観測が浮上し、ドル・円は一時110円を下回った。しかしながら、米中貿易協議の進展が期待されたことや、米国経済が景気後退に陥る可能性は低いとの見方が広がり、ドル・円相場は反転した。28日発表の10-12月期米国内総生産確報値は前期比年率+2.2%にとどまり、市場予想を下回ったが、米中貿易協議進展への期待が高まったことを理由にドル売りは縮小。欧州経済の悪化や英国の政治不安を嫌ってユーロ、ポンドに対するドル買いが強まり、ドル・円の取引でもドル買い・円売りが次第に優勢となった。

29日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時111円に接近した。米1月コアPCE価格指数は市場予想を下回ったことから、ドル売りが優勢となったが、米中の閣僚級貿易協議で進展が見られたことや、この日発表された米2月新築住宅販売件数や3月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は予想外に改善したため、リスク選好の円売りが観測された。ドル・円は110円64銭から110円95銭まで上昇し、110円84銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円71銭-110円95銭。

【今週の見通し】
■ドルは底堅い動きか、安全資産としての需要拡大の思惑も

今週のドル・円は底堅い動きとなりそうだ。米国の小売売上高や雇用統計など重要経済指標が市場予想を下回り、景気減速懸念が広がっても、英国の政治不安や欧州経済の悪化を警戒して安全逃避的なドル買いは継続するとの見方が多い。この影響でドルは対円でも下げづらい展開となりそうだ。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な政策スタンスを意識してリスク選好的なドル買いが一段と強まる可能性は低いとみられる。

今週(4月第1週)は欧米で重要な経済指標の発表が集中する。欧州中央銀行(ECB)の政策決定を控え、ユーロ圏経済の減速傾向がより鮮明になった場合、ユーロ売り・ドル買いは継続する見通し。NZ準備銀行(中央銀行)は将来的な利上げ計画を見直し、年内に利下げを行う可能性があると表明したが、米国以外の国や地域で金利引き上げを見送る動きは広がっていることから、安全通貨としてドルが選好されやすい地合いとなりつつある。

発表予定の米経済指標では、2月小売売上高、3月ISM製造業景気指数、3月雇用統計が特に注目されており、これらが市場予想を下回った場合は米国金利の先安観が再浮上する可能性がある。リスク回避的なドル売りがやや強まると予想されるが、指標悪化はある程度織り込み済みであり、市場予想に沿った内容ならドル売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。米中貿易協議の進展が期待されていることはドル・円相場を下支えする要因となる。4月3日からはワシントンで行われる予定の米中協議では、中国の知的財産権保護などがテーマになるとみられている。

【米・3月雇用統計】(5日発表予定)
5日発表予定の米3月雇用統計は、失業率3.8%、非農業部門雇用者数は前月比+17.5万人、平均時給は前年比+3.4%が市場予想。3月の非農業部門雇用者数は2月実績(前月比+2万人)を大幅に上回る可能性が高い。

予想レンジ:109円50銭-112円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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