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【特集】大谷正之氏【中間選挙後を意識、荒い値動きに光明は見えるか】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―週明けは急反落、対中貿易摩擦の狭間で揺れる投資家心理―

 東京株式市場は11月相場入りで流れが変わることも期待されたが、週明け5日の日経平均株価は前週末の急騰の反動で急反落となった。あすの米中間選挙の結果を見極めたいとの思惑も漂うなか、実際このビッグイベント通過後の地合いはどう変わっていくのか。今の荒い相場展開を経て、安定した上昇トレンド復活の目はあるのかどうか、そして投資家は足もとの相場とどう対処すべきか。ベテラン市場関係者2人に当面の相場見通しと物色の方向性などについて聞いた。

●「イベント通過で不透明感払拭され戻り試す展開に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 今週は米中間選挙、米連邦公開市場委員会(FOMC)、中国の主要経済指標発表と重要イベントが目白押しの状態で、内容次第で一時的な波乱展開も予想される。ただ、イベントが通過することで、株式相場への織り込みが進み、不透明感が徐々に払拭されて下値固めから戻りを試す展開も想定される。一方で、4-9月期決算や19年3月期通期業績見通しの発表も佳境を迎えていることから、好業績銘柄への個別物色の流れは継続しそうだ。

 今回の決算発表の印象として、同一業種でも、個別企業ごとに業績の明暗が比較的はっきり分かれる傾向がある。例えば、“同じ電子部品でもスマートフォン向けはあまり芳しくない一方で、車載向けは好調”といった現象が見て取れる。

 当面の日経平均は、波乱要因で一時的に2万1000円台前半まで売り込まれる場面があっても、基本的には2万2000円を挟んで上下500円幅程度での推移となりそうだ。外国為替市場での円相場もこのところ落ち着きをみせているのに加え、東証マザーズ市場など新興市場が復調の兆しとなっており、個人の投資姿勢もやや改善傾向にある。

 個別銘柄では、IHI <7013> に注目している。ボイラー部門の採算改善に加え、航空機エンジン関連事業の好調や、LNG(液化天然ガス)プラントの採算改善が寄与している。さらにHOYA <7741> は、半導体製造用のマスクブランクや、液晶用フォトマスクなどエレクトロニクス関連製品が拡大している。もうひとつ協和発酵キリン <4151> は、バイオ医薬品の開発・製造に期待が寄せられている。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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