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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ “チャイナショックの教訓”、調整からの回復シナリオ

株式アドバイザー 北浜流一郎

「“チャイナショックの教訓”、調整からの回復シナリオ」

●心強い過熱感なき米国の経済成長

 3年前の8月から10月にかけてが思い出される日々だ。当時順調に上昇し続けていた日経平均株価は、中国の不意打ち的な人民元引き下げにより急落、回復に向かい始めるまで2ヵ月ほどを要した。

 いわゆる「チャイナショック」だ。

 その時は人民銀行による人民元の引き下げに加え、預金準備率も引き下げられた。今回は人民元の引き下げはなく、預金準備率の引き下げただけだ。これだけではあるが、中国の預金準備率の引き下げは、国内景気の失速を防ぐという表向きの目的とともに、人民元引き下げの狙いもあると見てよいため、株式投資をする立場からは対応が難しくなる。

 トランプ政権が常時、 人民元相場の推移を監視しているため、人民元を直接引き下げられないとなると、今後も預金準備率の引き下げにより実質的に人民元相場を操作することが考えられる。しかし、トランプ大統領がそれを看過するとは思えず、今後も引き続き中国の金融政策が市場の攪乱要因になることは計算に入れておきたい。

 ただ、ここで紹介しておきたいのは、15年のチャイナショックは、長々とは続かず、東京市場は10月半ばから年末にかけて回復に転じたことだ。今回も同じになると断言まではできないものの、市場は過去の動きをある程度トレースはすることがある。ただ、完全にそうなるわけではない。

 新たな状況では、似通った環境ではあったとしても基本的にはまったく同じということではないし、学習効果もある。特に大きいのは後者であり、前回の経験を踏まえ、慎重な対応になることから、極端な値動きにはなりにくく、その分回復も早いと見てよい。

 それになんといっても心強いのは、米国経済が過熱感なき成長拡大を続けていることだ。インフレが生じているわけではないし、長期債利回りも一方的にどんどん上がっているわけでもない。

●底打ち後反落の好実態株を仕込む

 このような現実を踏まえると、やはりいまは調整局面での下値模索の段階と見てよく、10月15~16日につけた安値から少し戻り、そしてまた反落した銘柄をしっかり確保する投資が有効といえる。

 そこで、具体的にはまずはソニー <6758> がある。前回も取り上げたが、ソフトバンクグループ <9984> も同様の観点から狙いどころになる。

 高値をキープし続けてきたが、さすがにこのところ値動きが鈍いキッコーマン <2801> も見逃してはなるまい。

 市場環境が悪化するとテーマ銘柄のことも忘れられてしまいがちだが、やはり子会社が生分解プラスチックストローの販売拡大に向けて準備中の三井松島ホールディングス <1518> も引き続きマークでよい。

 配当利回りが7%に達する松井証券 <8628> も、時間はかかるものの、ここからは下げても大きなそれはないと見てよく、ゆっくり投資なら成功する確率が高い。

 小型成長株にも目を向けておくと、メンバーズ <2130> がある。ネット上のサイトやソーシャルメディアの制作・運営に強く、ネット技術に強い人材の派遣にも展開、両分野とも順調に収益を伸ばしている。

2018年10月19日 記

株探ニュース

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