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【通貨】プーチン大統領、ロシア独自の仮想通貨発行の可能性を否定【フィスコ・仮想通貨コラム】


ロシアのプーチン大統領が7日、同国の名物番組「プーチン・ホットライン」に出演し、仮想通貨に関する見解を語った。同番組は年に一度、全国から寄せられた国民の質問に大統領が直接回答する形式の生番組で、高視聴率で知られている。

プーチン大統領は、ロシアが独自の仮想通貨を発行する可能性について質問を受けたのに対し、仮想通貨は「本質的に国境を越える」ものであるため、自国の仮想通貨を持つことはできないと回答した。

ロシアでは、2017年10月にプーチン大統領の発案により、独自仮想通貨「クリプトルーブル」の発行計画が発表されたが、ロシア中央銀行、財務省が実現可能性に難色を示してきた。今年の1月初頭にプーチン大統領が国際的な経済制裁を回避する手段として改めて必要性を表明し、同月中にクリプトルーブルを法定通貨にするための法案が提出されたものの、今回、プーチン大統領が発行の可能性を否定した格好となった。

プーチン大統領はその他も番組内で仮想通貨について、マイニングは現在、規制対象ではないものの、慎重に取り扱っていると説明。また、「中央銀行は仮想通貨を決済手段としても価値の貯蔵手段としても認めておらず、価値を裏づけするものもない」と否定的な発言を展開した。

一方で、仮想通貨が世界で発展していることを認め、ロシアとして監督・分析し、将来的にはどのように関与していくか検討する必要があると伝えた。仮想通貨の活用例として、「国際金融活動における様々な制限を避けるため」と発言したことから、依然として、同氏が、仮想通貨が経済制裁の回避策となることに注目していることが示唆された。

ロシアでは、財務省が仮想通貨規制法案を提出し、ICO(仮想通貨技術を利用した資金調達)のルールを含め、仮想通貨に関する法的枠組みについて議論されている。中央銀行の提出によるクラウドファンディングに関する法案の審議も進められており、3月には両法案の採択期限が7月1日に定められたことが発表された。経済制裁による影響の緩和への活用という思惑や、新たな産業育成に対する期待から、ロシアは一定の規制下で仮想通貨を利用する方向性で法整備を急いでいる。

《MT》

 提供:フィスコ

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