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【特集】田部井美彦氏【日経平均急反発! 夏相場への序曲は聞こえたか?】(2) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―重要スケジュール目白押し、期待と不安のハザマで漂う市場―

 東京株式市場は週明け4日に日経平均株価が急反騰に転じた。5月下旬は外国為替市場での円高などが足かせとなって全体相場は下値模索を余儀なくされたが、6月相場に入り景色が変わってきた。とはいえ、ここから重要スケジュールが相次ぐ。追撃か見送りか、投資家にとっても悩ましい場面だが、第一線で活躍する市場関係者は今の地合いをどう見ているのか。6月相場の見通しや物色の方向性について意見を聞いた。

●「重要イベント経過後の6月後半からジリ高歩調に復帰」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 今週から来週に掛けて、日米首脳会談(7日)、G7首脳会議(8~9日)、米朝首脳会談(12日)、FOMC(12~13日)など、株価や為替相場に大きな変動を与える可能性のある重要イベントが目白押しとなる。これらが経過して、その内容を織り込むことで世界の株価が落ち着きを取り戻し、6月後半はジリ高歩調の株価推移となりそうで、日経平均は2万3000円台固めが想定できそうだ。

 7月に入ると、12月期決算企業の第2四半期累計(1-6月)の決算発表シーズンが接近してくることから、通期業績予想の上方修正開示なども目立ちはじめ、再び個別銘柄の業績動向を手掛かり材料とした物色傾向が強まり、日経平均は2万4000円台乗せを目指した値運びも期待される。

 個別銘柄では、その12月決算銘柄のなかからJT <2914> に注目したい。同社は、加熱式たばこ「プルーム・テック」の全国販売を6月からスタートしている。当初はたばこ店で取り扱い、7月からはコンビニエンスストアなどにも拡大する方針。18年12月期の配当は中間期75円、期末75円の合計150円を公表しており、年間の配当利回りは5%を上回る高水準となっている。

 次に注目したいのは、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> だ。現地時間6月12日~14日に米国ロサンゼルスで開催される世界最大級のゲーム見本市「E3 2018」で、未発表のタイトルが明らかにされ、話題を集める可能性がある。また、来期以降は、開発体制が整うことで大型タイトルの発売に拍車が掛かりそうだ。さらに、制御機器専業メーカーで、操作スイッチや表示ランプに強みを持つIDEC <6652> も見逃せない。産業用ロボットの能力や精度が向上し、人間と至近距離での共同作業のケースが増加するなかで、同社の操作スイッチの技術力に注目が寄せられている。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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