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【特集】Jトラスト Research Memo(1):アジア金融事業を原動力に、世界に羽ばたく総合金融グループを目指す

Jトラスト <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内金融事業、海外金融事業、非金融事業などを有するホールディングカンパニーである。国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、2018年3月末の総資産は6,500億円を超えるまでに拡大した。同社はアジアの銀行業を中心とした利益拡大スタイルへの転換を遂げようとしている。今後も引き続き成長速度を緩めることなく、世界に羽ばたく総合金融グループへの発展を目指している。

1. 2018年3月期は主力の金融3事業は堅調だが、投資事業で損失を計上
2018年3月期からはIFRSベースの発表を実現し、営業利益は2,355百万円、税引前利益は 416百万円であったが、親会社の所有者に帰属する当期利益は731百万円の損失に終わった。主力の金融3事業(国内金融事業・韓国金融事業・東南アジア金融事業)の営業利益は約92億円(前期比約2倍)と順調であったが、投資事業における Group Lease PCL(以下、GL)への投資関連損失(約64億円)の影響が大きかった。GL投資に関しては必要な決算処理を行うとともに、損失回避に向けてGLと係争中である。また、非金融事業のアドアーズ(株)を売却し、経営資源の選択と集中も進めた。なお、配当は年間12円を維持する。

2. 2019年3月期は金融3事業を中心に増益を予想
同社では、2019年3月期の連結業績を、営業利益7,073百万円(前期比200.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益5,318百万円(前期は731百万円の損失)と予想する。主力の金融3事業が堅調な上、投資事業も黒字に転じることから増益となる見通し。4月にインドネシアのマルチファイナンス会社であるOLYMPINDO MULTI FINANCE(OMF)を買収し、5月17日には、カンボジアの商業銀行ANZ Royal Bank(ANZR)の買収計画を発表した。いずれの会社も、今後、Jトラストグループとの大きなシナジーが期待される。配当は2017年3月期並みの年間12円の予定。加えて、同社株の中長期的な保有を促す目的で、楽天ポイントを付与する株主優待制度を導入した。

3. 今後は東南アジア金融事業がグループ業績をけん引
これまで業績の足を引っ張ったIFRS転換の遅れ、韓国金融事業での負ののれんなどの処理、東南アジア金融事業での不良債権処理、投資事業の損失処理などの諸問題への対応がようやく一段落する。今後は、成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、同社グループは持続的かつ大きな成長を目指している。同社グループの収益モデルに変更はなく、ベースとなる主力の金融3事業の利益は安定的に成長するとみる。

■Key Points
・2018年3月期は、営業利益2,355百万円の黒字、当期利益は731百万円の損失で終わった。主力の金融3事業は順調であったが、GL関連の損失処理が足を引っ張った
・2019年3月期は、主力の金融3事業が堅調な上、2018年3月期の投資損失がなくなることから、営業利益7,073百万円(前期比200.3%増)を予想する
・同社グループの収益モデルに変更はなく、今後は潜在成長性が大きい東南アジア金融事業が原動力となり、持続的かつ大きな成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《NB》

 提供:フィスコ

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