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【市況】米国株式市場見通し:FOMC議事録に注目


ロシアへの機密情報漏洩や司法妨害などトランプ大統領の行動に対する疑惑が高まり、政権混乱や重要政策への影響が懸念され、投資家心理が悪化している。朝鮮半島情勢を巡る地政学リスクも完全には払拭されておらず、株式市場は神経質な展開が続くだろう。今週は24日公表のFOMC議事録や25日開催の石油輸出国機構(OPEC)総会に注目が集まりそうだ。4月のFOMCでは第1四半期に確認された経済減速は一時的なものと判断された。議事録では6月利上げの可能性についてFOMCメンバーがどのような議論を行ったのかに注目したい。原油価格が1バレル50ドルを回復する中、OPEC総会では主要産油国の間で減産延長を決定できるかが焦点となる。

個別企業では、宝飾品のティファニー(24日)、自動車用品小売のアドバンス・オート・パーツ(24日)、ホームセンターのロウズ(24日)、家電量販店のベストバイ(25日)、アパレルのアバクロンビー&フィッチ(25日)、ディスカウントストアのダラー・ツリー(25日)、小売大手のシアーズ・ホールディングス(25日)、会員制卸売のコストコ・ホールセール(25日)などの決算発表が予定されている。ティファニーは、決算発表翌日に株主総会が予定されている。株主である投資会社が、取締役会の高齢化、多様性の欠如、在任期間の長さを批判する書簡を送付しており、何らかの発表が行われるか注目したい。

経済指標では、4月新築住宅販売件数(23日)、3月FHFA住宅価格指数(24日)、4月卸売在庫(25日)、4月耐久財受注(26日)、1-3月期GDP改定値(26日)などの発表が予定されている。住宅着工件数が2か月連続で減少したことから、新築住宅販売件数も落ち込みが予想される。26-27日はイタリアでG7首脳会合が開催される。会合では、トランプ大統領が保護主義的な通商政策に言及して各国の反発を受ける可能性もあり、注意が必要だ。

小売各社に軟調な決算が相次いでいる。百貨店のメーシーズは決算発表後に17%下落したほか、JCペニーは決算発表前に既存店売上高が予想を下回り、14%下げた。ノードストロームやアクセサリーを扱うフォッシルも決算発表後にそれぞれ大幅下落となった。一方で、最大手ウォルマートの決算は成長加速に向けて投資を続けてきたオンライン売上高の成長率が大幅に伸び、米既存店売上高が予想を上振れたことで株価は上昇している。アマゾンなどオンライン小売業者の台頭により、ディスカウントストアやデパートなど従来の店舗型小売業者の多くが売上成長の鈍化や利益率の低下に苦しんでいることは周知の事実だが、消費者の購買行動の変化に気づき、対策を講じてきた企業との差別化が進んでおり、市場再編が急速に進みそうだ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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