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【通貨】欧米為替見通し:ドル・トルコリラは弱含みか、政府VS中銀に関心

ドル円 <日足> Slowストキャス 「株探」多機能チャートより

今日の欧米外為市場では、トルコ中銀が市場の予想通り利上げに踏み切れるか注目したい。米新政権による政策期待によるドル高を背景に、トルコリラは過去最安値圏で推移するなか、エルドアン政権は景気テコ入れの観点から利下げを求めている。それに対し、中銀が通貨防衛に動ければリラ売りを弱める材料になりそうだ。ドル・円については、次期米財務長官のムニューチン氏が前日、「過度に強いドルが短期的にマイナスとなる可能性」と発言。また、トランプ米大統領が日本は公平な貿易を行っていないと批判したことで、貿易不均衡是正に絡み円先高観の浮上も考えられ、ドル売り・円買いの継続がイメージされる。

トルコ中銀は定例の本日政策会合を開催し、今晩20時に金融政策を発表する。今回は主要政策金利である1週間物レポ金利を8.00%から8.50%への引き上げが市場コンセンサス。利上げは昨年11月24日以来、2カ月ぶりとなる。今月3日に発表された同国12月の消費者物価指数(CPI)は前年比+8.5%と予想の+7.6%(前回は+7.0%)を大きく上回ったほか、同9日の11月鉱工業生産は前月比0.0%と前回+3.7%から悪化した。

ドル・トルコリラの値動きをみると、米次期政権への期待などを背景に年初の3.53リラから1月中旬にかけて一時3.94リラまで上昇(リラは下落)。足元ではドルの調整により3.75リラ台でやや落ち着いているが、それでも昨年7月に発生したクーデター未遂事件前よりも30%程度安い水準だ。目先の米利上げでドル買いに振れれば、リラへの下方圧力は再び強まる見通しだが、今晩の利上げによってリラ売りを食い止める効果が見込めそうだ。

しかし、リラ安を阻止するためには大幅な利上げが必要とみられているが、権力の集中を強めるエルドアン政権は景気対策を最優先するため、中銀に対しては逆に利下げを求めている。仮に中銀が利上げに踏み切れなかった場合、経済情勢の悪化観測にとどまらず、中銀の独立性の観点から格下げへの思惑が広がり、リラがさらに下押しされるだろう。(吉池 威)


【今日の欧米市場の予定】
・17:30 独・1月製造業PMI速報値(予想:55.4、12月:55.6)
・17:30 独・1月サービス業PMI速報値(予想:54.5、12月:54.3)
・17:30 独・1月総合PMI(予想:55.3、12月:55.2)
・18:00 ユーロ圏・1月製造業PMI速報値(予想:54.8、12月:54.9)
・18:00 ユーロ圏・1月サービス業PMI速報値(予想:53.8、12月:53.7)
・18:00 ユーロ圏・1月総合PMI速報値(予想:54.5、12月:54.4)
・18:30 英最高裁がEU離脱の議会承認をめぐる訴訟で判決言い渡し
・18:30 英・12月公共部門純借入額(銀行部門除く)(予想:+67億ポンド、11月:+126億ポンド)
・20:00 トルコ中銀政策金利発表(予想:政策金利8.00%を8.50%に引き上げ)
・23:45 米・1月製造業PMI速報値(予想:54.5、12月:54.3)
・24:00 米・12月中古住宅販売件数(予想:551万戸、11月:561万戸)
・24:00 米・1月リッチモンド連銀製造業指数(予想:7、12月:8)
・03:00 米財務省2年債入札(260億ドル)
・南ア中銀が政策金利発表(7.00%で据え置き予想)
・米議会予算局(CBO)が財政・経済見通し発表

《FA》

 提供:フィスコ

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