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【通貨】為替週間見通し:ドル・円は弱含みか、英国、欧州経済悪化と米利上げ休止を意識した取引に

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドルは軟調推移、米雇用統計改善も早期利上げ遠のく

先週のドル・円は軟調推移。欧州連合(EU)から英国が離脱することによって、世界経済の減速懸念はさらに高まるとの見方が広がった。英国の経済情勢は悪化し、ユーロ圏諸国の景気悪化も警戒されたことから、英ポンドやユーロに対する円買いが活発となり、この影響でドル・円の取引でもドル売り・円買いが優勢となった。

8日発表の6月の米非農業部門雇用者数は前月比+28.7万人に急増し、市場予想の+18万人程度を大きく上回ったことから、ドルは101円台前半まで戻す場面があった。しかしながら、米長期債利回りが低下したことから、ドル・円は一時99円99銭まで反落した。100円近辺では短期筋や顧客筋などのドル買いが観測されており、ドルは下げ止まったが、早期利上げ観測は台頭せず、ドル・円は100円50銭前後でもみあう展開となり、100円45銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:99円99銭-102円80銭。

■ドル・円は弱含みか、英国、欧州経済悪化と米利上げ休止を意識した取引に

今週のドル・円は弱含む展開となりそうだ。英国、欧州経済の先行き不透明感が広がっており、先週に続いてポンド、ユーロの値動きがドル・円の相場動向にも影響を及ぼす展開となりそうだ。英中央銀行は14日の金融政策委員会(MPC)で利下げを実施する可能性が高いとみられている。利下げ幅が0.25ポイントにとどまった場合、ポンドは下げ止まる可能性があるが、追加緩和の可能性が示された場合、ポンド売りは継続し、この影響でドル・円の取引では円買い・ドル売りが優勢となる可能性がある。

6月の非農業部門雇用者数は予想を大きく上回る増加となったが、平均時間給の伸びはやや鈍化しており、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測は高まっていない。このため、年内の利上げ休止を想定したドル売りの基調は当面維持される見通し。

ただし、米経済指標が予想以上に改善した場合、金融政策に対する悲観的な見方は広がらず、ドル買いはやや強まる可能性がある。また、日本銀行による7月追加金融緩和への期待は残されていることから、ドル・円は100円を割り込んでも短期間で100円台を回復する展開もあり得る。

【英中央銀行金融政策委員会(MPC)】(14日に結果発表)
英中銀のカーニー総裁は6月30日の記者会見で金融緩和の必要性に言及しており、7月14日または8月4日開催の金融政策委員会(MPC)で現行0.5%の政策金利を引き下げる見通し。英中銀が利下げを実施すれば、売り材料出尽くしでポンドは下げ止まる可能性があるが、追加緩和の可能性が残された場合、ポンド売りは継続し、ドル・円相場の反発は抑制されるとみられる。

【米6月消費者物価コア指数】(15日発表予定)
15日発表の米6月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+2.2%と予想されており、インフレ率は5月実績と同水準になると予想されている。インフレ関連の指標が予想を上回った場合、米年内利上げ期待が再び高まる可能性がある。

《FA》

 提供:フィスコ

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