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【通貨】為替週間見通し:ドル・円はもみあいか、英国のEU離脱の影響を見極める展開

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■英国民投票でEU離脱決定、ドルは一時99円02銭まで下落

先週のドル・円は下落。24日の東京市場で2013年11月以来となる99円02銭までドル安・円高が進行した。23日に行われた英国民投票で欧州連合(EU)からの離脱支持票が過半数となり、英国のEU離脱が確定的となったことが要因。国民投票前にはEU残留への期待があったが、市場予想に反する投票結果となったことから、リスク回避の動きが急速に広がった。

24日の欧米市場でリスク回避のドル売り・円買いは一服したが、主要7カ国(G7)は「市場の動向や安定度を綿密に監視していく」、「為替市場での過剰な変動、無秩序な動きは経済にとり悪影響を与える可能性がある」、「市場の動向を監視する」等の声明を発表し、円売り介入に対する警戒感が広がったことが円高一服の要因となった。

市場関係者の間では、1ドル=100円を突破して円高が進んだ場合、日本政府・日本銀行による円売り介入が実施される可能性は高いとの見方が多い。日銀の黒田総裁は24日、「流動性の供給に万全を期すことを通じ、金融市場の安定確保に努めていく」との声明を発表している。ドル・円は102円19銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:99円02銭-106円84銭。

■ドル・円はもみあいか、英国のEU離脱の影響を見極める展開

今週のドル・円はもみあいか。23日に行われた英国の国民投票では、欧州連合(EU)からの離脱支持が残留支持を上回る結果となった。このため、リスク回避に絡んだ取引はしばらく続く可能性がある。英国の国民投票結果を受けて世界の金融市場の反応が注目される。

ただし、ドル・円の取引では米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースと日本銀行の追加金融緩和の可能性がより重要なテーマとなりそうだ。引き締めに前向きとみられていたイエレン米FRB議長は21-22日の議会証言で慎重なスタンスが目立ち、利上げペースはこれまでの年2回から年1回に鈍化する見通し。

米早期利上げ観測は大きく後退しており、29日に開催されるパネル討論会でのイエレン氏の発言はドル売り・円買いを誘発しやすい。引き締め観測の後退は、米国株を押し上げる要因となるため、米国株の動向には注意を払う必要がありそうだ。

日本銀行は4月27-28日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の維持を決めたが、実際には追加緩和が議論されていたことが6月21日に公表された議事要旨で明らかになった。英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が支持されたことから、7月28-29日に開かれる決定会合で追加緩和が実施されるとの期待が高まっている。また、24日公表された今月15-16日の決定会合における「主な意見」でも、2%の物価目標の達成に否定的な意見が散見された。このため、7月1日発表の日銀短観が前回を下回った場合、7月追加緩和観測を後押しすることになりそうだ。

予想レンジ:99円00銭?105円00銭

【米連邦準備制度理事会(FRB)議長参加の討論会】(29日開催)

イエレン議長は29日にパネル討論会に参加する予定。英国のEU離脱を受けて、市場では年内利上げ休止との思惑が浮上している。イエレンFRB議長が追加利上げに慎重な姿勢を示した場合、ドル売り要因となる。

【4-6月期日銀短観】(7月1日発表予定)

7月1日に4-6月期の日銀短観が発表される。大企業製造業・業況判断は前回+6に対し、予想は+4と小幅に悪化する見込み。先行きについては前回同様+3と見込まれている。日銀短観が予想以上に悪化した場合、日銀による7月追加緩和への期待感が高まりやすい。

《FA》

 提供:フィスコ

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