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【特集】ワコム Research Memo(7):売上高1,200億円、営業利益144億円、ROE20%以上を目指す

ワコム <日足> 「株探」多機能チャートより

■戦略経営計画SBP-2019

(1)計画の概要

ワコム<6727>は2015年4月に、「ワコム戦略経営計画:SBP-2019」を策定・発表した。これは2016年3月期から2019年3月期までの4年間を対象とするものだ。それ以前に同社は、2017年3月期をゴールとする中期経営計画「WAP1215」を策定して取り組んでいたが、外部環境も含めて実態と計画のズレが拡大してきたため、1年前倒しで新中期経営計画に切り替えたという流れだ。

SBP-2019の基本戦略を下記に掲げた。骨子の部分では前中期経営計画から大きな変化はない。しかし環境の変化としてスマートフォンやタブレット、クラウドが主要ITプラットフォームとなることが一段と明確になってきたことに加えて、デジタルデザインの進化及びグローバル化、モバイルコンシューマのクリエイティブニーズの高まり、ビジネス、教育分野のモバイル化などがあるため、それらを反映した修正が加えられている。

これら基本戦略と各事業における成長戦略を実行し、2019年3月期において売上高1,200億円、営業利益144億円(営業利益率12.0%)、ROE20%以上を業績目標として掲げている。売上高の1,200億円という値は前中期経営計画でのゴールと同じものであり、今回仕切り直しで再度チャレンジするという形だ。

(2)新中期経営計画の注目点

弊社では新中期経営計画の注目点の1つは組織構造の変革にあると考えている。売上高の約90%を海外市場で得ていることから明らかなように、同社の市場は文字どおりグローバルだ。地域別割合も、現状では米・欧が一段高いが、成長性の高さでは新興国主体のアジア・オセアニアが高いため、世界市場でまんべんなく収益が上がる体制が期待される。

これまで同社は地域別責任体制をとり、各地域にヘッドを置いてマネジメントを行う体制をとってきた。しかし、顧客側がグローバルで活動する実態に即した営業・管理体制を同社も採用することとし、事業ユニットごとにヘッドを置き、担当事業については全世界の市場についてマネジメントする体制へと移行した。これによって世界均質のサービスの提供、意思決定の迅速化と無駄の排除などが実現されると期待される。

ビジネスユニットの在り方自体には前中期経営計画から実質的に変更はない。名称において特定業務分野ビジネスがビジネスソリューションに、コンポーネント事業がテクノロジーソリューション事業に名称が変更となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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