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【経済】中国:地方政府の債務借り換え枠を4割引き上げ、前倒し償還推進へ


中国の地方政府による高金利債務の借り換え政策について、今年はその規模が大幅に拡大される見通しだ。11日付の経済参考報によると、これまでに山東省、江西省、広東省などが2016年の借り換え枠を決定。その多くが前年を約4割上回る規模で、中には前年の2.4倍まで引き上げた地方もあるという。また、借り換え枠は年内に満期を迎える債務を上回る水準に設定されており、前倒しで償還を進めていく姿勢が示された。
例えば山東省では、今年の借り換え枠を2400億~2600億人民元に設定。前年実績の1800億人民元から、33~44%の幅で引き上げられた。また、広東省は前年実績の1200億人民元から2.4倍増となる2900億人民元を上限としている。このほか、江西省は1000億人民元(↑43%)、黒竜江省は955億人民元(↑59%)、広西チワン族自治区は1053億人民元(↑42%)に決まった。
財政部の楼継偉・部長が今月7日に明らかにしたところによると、中国の地方債務残高は15年末時点で16兆人民元(約280兆円)。今年は5兆人民元が償還期限を迎える見込みという。
財政部は昨年3月、地方政府が抱える高金利債務について、より金利の低い地方債の発行による借り換えを承認。当初の上限枠は1兆人民元だったが、その後4兆人民元まで拡大された。楼部長は12月の時点で、最終的に15兆人民元まで引き上げる考えを示している。
高金利債務の借り換えを認めることで、地方政府の財務負担を軽減し、実体経済のテコ入れに必要な資金を確保する狙い。中国では地方債の直接発行が原則禁止されていたため(2014年5月に一部地域で解禁)、地方政府は実態の見えにくい特別目的会社「地方融資プラットホーム」を通じて財政資金を調達してきた。景気の減速や不動産市況の悪化でその債務規模が拡大し、地方財政を圧迫している。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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