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【特集】神戸物産 Research Memo(5):新業態の輸入食品専門店「ガレオン」の動向に注目


■今後の見通し

(1) 2016年10月期の業績見通し

神戸物産<3038>の2016年10月期の連結業績は、売上高が前期比6.3%増の243,000百万円、営業利益が同32.3%増の9,000百万円、経常利益が同6.2%増の9,100百万円、当期純利益が同28.9%増の5,300百万円となる見通し。セグメント別の見通しは以下のとおり。

○業務スーパー事業
主力の業務スーパー事業では、店舗数を前期末比25店舗増の738店舗まで拡大する。新規出店で35店舗、老朽化した店舗の移設・退店で10店舗程度を予定している。新規出店に関しては首都圏エリアや北海道を中心に増やしていく方針だ。2015年10月末の店舗数のエリア別構成比で見ると関西エリアが31%、その他地方エリアが42%となっているのに対して、首都圏エリアは25%にとどまっており、依然出店余地が大きいためだ。また、北海道については従来までは物流費率の高さがボトルネックとなっていたが、前期は店舗数が13店舗まで拡大し、物流費率の低減が進んだことで出店を積極化していく。

売上高としては前期比5%増収を見込んでおり、前期から比較するとやや保守的な想定となっている。一方、利益ベースでは引き続き2ケタ増益となる見通し。現在、国内メーカーから調達している商品を自社でPB商品化し、国内外の自社グループ工場で生産、「高品質かつベストプライス」な商品として販売していくことで、グループ全体の収益性を向上していく戦略だ。現在、国内で調達している食材は約2,800アイテムあるが、このうち自社工場で生産しているものは250アイテムと1割弱にすぎず、今後も自社生産品をさらに増やしていく方針だ。

水産加工食品を手掛けるほくと食品(株)については、現在新商品の開発に取り組んでおり、商品化できれば収益の改善が見込めるとしている。また、2014年4月にグループ化した酒造メーカーの菊川(株)も自社企画商品の開発が進んでおり、今期は黒字化が見込まれている。業績が好調な朝びき若鶏では今期中に新たな鶏肉加工工場の建設に着工をする予定で、一段の収益拡大を目指していく。

一方、新業態の輸入食品専門店「ガレオン」では神戸に出店した1号店を閉店し、新たに2015年12月に関東進出1号店として「元住吉店(川崎市中原区)」をオープンした。2号店目の「もりのみやキューズモール店(大阪市中央区)」がショッピングモールのテナント店だったのに対して、今回は商店街沿いの路面店での出店となる。2016年春頃まで2店舗の販売状況などをみて、FC展開していくかどうかを決定していく方針としている。

○神戸クック事業
神戸クック事業は前期に続き、各業態におけるフォーマットの見直し及び体制強化による収益体質の改善に取り組んでいく方針で、利益面で国内を中心に収益改善が進むことで若干の黒字転換を見込んでいる。

○クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業は売上高で前期比3%増収、営業利益で同6%減と、ジー・コミュニケーショングループの見通しをそのまま連結業績計画に織り込んでいる。

○エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業は早ければ第3?4四半期にかけて大阪、徳島、滋賀で合わせて約6.5MW(設備投資25億円)のメガソーラー発電所が稼働する予定となっている。

また、大分県九重町で事業化を進めている地熱発電プロジェクトについても、掘削中の複数の井戸のうち、1本で蒸気の自噴が確認されたことから、発電設備の発注準備を開始した。発電した電力は、日中は2016年にオープン予定の温浴施設「ホットラグーン大分」へ給電し、九州電力にも売電する予定となっている。発電規模が小さいこともあり、今期の業績への影響は軽微と見られる。

観光事業に関しては大分県の温浴施設に加えて、日本最大級の観光農園・果樹園となる北海道の「函館観光果樹園(仮称)」を2016年にオープンする予定となっている。いずれも地熱エネルギーを活用した観光事業で、地域活性化、雇用創出などの社会貢献を目的とした事業であり、業績面での寄与は織り込んでいない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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