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【経済】選挙を控え日米に大衆迎合政治のリスク


米国の共和党の大統領候補者選びで不動産王のドナルド・トランプ氏が圧倒的な支持を集めている。同氏の主張は過激そのもので、米国とメキシコの国境にメキシコの費用負担で「万里の長城」を築き移民を排斥すること等を主張している。また、貿易面でも中国と日本の不公正な貿易をやめさせるとして、中国と並べて日本叩きにも熱心だ。環太平洋連携協定(TPP)にも反対している。
 一方、民主党の大統領候補者選びで優勢を築きつつあるヒラリー・クリントン氏も日本と中国が為替を操作していると名指しで批判して、関税を含む様々な対抗措置を取ると主張している。TPPにも反対の姿勢だ。
 米国内では格差の拡大や製造業の伸び悩みになどにより、保護主義的な政策を打ち出すと人気が高まる情勢にあるようだ。民主党のヒラリー・クリントン氏の対抗で若者に人気となっているバーニー・サンダース氏の主張も極めて内向きで米国国内の雇用の確保・格差の是正を主張している。TPPにも当然反対の姿勢を示している。
 米大統領選に向けて、有力な候補者は全て保護主義的・内向きな政策を訴えており、日本経済にとっては現時点の有力候補者の誰が大統領になっても逆風になりそうだ。最もましと思われるのは穏健派とされる共和党で今回2位につけたマルコ・ルビオ氏だが、ドナルド・トランプ氏との差は大きい。
 日本としては、大統領選挙後は人気取りのための過激な政策がトーンダウンして、現実的な政策を取ってくれることを祈るしかないようだ。
 ひるがえって、日本も参議院選挙が近づいており、民主党と維新の党が合流するなどの動きがでている。しかし、民主党と維新の党は政治理念の一致をみて合流するというよりは、選挙情勢が芳しくないことから参議院選挙の前に慌てて合流したという印象が否めない。政策や綱領のすり合わせ等を十分にやった形跡はみられない。経済政策についても、自民党の政策に対抗する新党の政策やビジョンが全く見えない。新党の中でもっとも大きな議論になっているのが、新党の名前を何にして、どう国民に新鮮さをアピールするかという点となっているのはいかがなものか。
 米国では大衆迎合的な政策のアピールが行われているが、日本では政策ですらなく大衆にアピールするイメージが一番の問題になっているのは、日本の政治情勢の情けなさを示すものかもしれない。
《YU》

 提供:フィスコ

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