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2016年02月02日16時07分

【特集】リプロセル Research Memo(5):売上高は海外子会社の寄与により大きく伸長


■決算動向

(1) 2016年3月期第2四半期累計業績について

リプロセル<4978>の2016年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比185.2%増の539百万円、営業損失が425百万円(前年同期は192百万円の損失)、経常損失が406百万円(同127百万円の損失)、四半期純利益が398百万円の損失(同129百万円の損失)となった。

売上高は海外子会社の寄与により大きく伸長し、売上総利益率も前年同期の52.0%から55.6%に向上したものの、M&Aに伴うのれん費用の計上や研究開発費など販管費が増加したことで、利益面では損失が拡大する格好となった。また、営業外収支では、米ドル建て資産の期末評価替えに伴い、為替差損益で39百万円の悪化要因となっている。

(2)事業セグメント別動向

○iPS細胞事業
iPS細胞事業は売上高が前年同期比206.1%増の500百万円、セグメント損失(経常利益ベース)が68百万円(前年同期は19百万円の利益)となった。海外子会社の売上げが加わったことで大幅増収となったが販管費の増加により、利益面では悪化した。

主力の研究試薬製品は、海外でのクロスチャネル販売の効果が想定よりも遅れているものの、着実に販路を拡大しており、また試薬キット製品や培養液、凍結保存液などで高性能・高品質の新製品を発売した効果もあって、売上高は堅調に推移した。

試薬キット製品ではStemgentが開発した最新鋭のヒトiPS細胞試薬製品「mRNAリプログラミング・キット」(繊維芽細胞用)の販売を開始している。同製品はヒトiPS細胞の作製効率が従来手法に比較して100~1,000倍に向上するほか、細胞に注入した遺伝子が培養後に完全に消去されるため、高い安全性を持つことが特徴となっており、今後のヒトiPS細胞の培養試薬においてデファクトスタンダードになると期待されている。

また、2015年6月に販売を開始した「ReproNaiveTM」はヒトiPS細胞をナイーブ型に誘導するための培養液で、世界初の製品となる。ヒトiPS細胞のような多能性幹細胞には受精卵により近い未分化な状態のナイーブ型とやや分化が進んだ状態のプライム型とに分類される。現在、多くのヒトiPS細胞はプライム型の状態で培養されている。ナイーブ型はプライム型と比べ、多くの種類の細胞へ分化させることができることが知られており、高品質なiPS細胞として注目されている。同培養液を使うことで、プライム型ヒトiPS細胞からナイーブ型ヒトiPS細胞に誘導できるほか、10日間で従来よりも100倍以上のスピードで細胞を増殖することが可能となる。同社では、将来的にヒトiPS細胞がすべてナイーブ型に置き換わるとみており、同培養液の需要も拡大すると見ている。

2015年8月に販売を開始した凍結保存液「ReproCryo DMSO FreeTM」は京都大学再生医学研究所と共同開発したもので、ヒトES/iPS細胞用凍結保存液の成分として一般的に利用されているDMSO※1を含まない世界初の保存液となる。凍結溶解後の細胞の立ち上がりが良く、生存率も良好で、ヒトES/iPS細胞の機能を高水準で維持、活用できることが特徴で、シェアの拡大が期待される。今後は再生医療分野での利用も視野に、GMP※2グレードの製品化も進めていく予定となっている。その他、2015年12月には国立がんセンターと共同開発した肝細胞の活性を長期間高く維持する培養液「ReproHP MediumTM」の販売も開始している。

※1 DMSO・・・ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)の略称で、分子式(CH3)2SOで表される毒性のある有機化合物。現在、最も多く用いられている凍結保護剤成分で、良好な細胞生存率が容易に得られる一方で、細胞の分化形質が変化してしまう可能性があるといった報告がなされている。
※2 Good Manufacturing Practice(Good Manufacturing Practice)・・・原材料の受入れから製造・出荷まで全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるようにするための製造工程管理基準。

細胞製品では当期より、アルツハイマー病患者より採取した細胞から作製した、疾患ヒトiPS細胞より分化誘導した疾患型神経細胞「ReproNeuro AD-patient」を作製、新たに製品ラインナップに加え販売を開始した。受託サービスについても、ヒトiPS細胞培養や疾患型ヒトiPS細胞由来の細胞製品(神経細胞、心筋細胞、肝細胞等)の受託案件を製薬企業を中心に拡大し、今後の売上に貢献する予定。

その他、当期は慶應義塾大学と遺伝子性の心臓病「QT延長症候群」※3及び「肥大型心筋症」などの疾患ヒトiPS細胞由来の心筋細胞に関する独占販売ライセンス契約を締結している。同ヒトiPS細胞により当該疾患の病態解明や新薬開発への応用展開などで事業化を目指していく方針だ。

※3 QT延長症候群・・・不整脈で突然死につながる可能性のある遺伝性の心臓病。
また、日産化学工業<4021>と共同出願していた造血幹細胞の増殖方法に関する特許を2015年1月に日本で、同年11月に米国でそれぞれ取得している。同特許は臍帯血中などに含まれる造血幹細胞を従来の3倍以上のスピードで効率的に増幅する技術で、臍帯血移植による白血病治療の普及拡大に貢献するものと考えられる。実際の事業化の方法等については、今後、日産化学工業と交渉を進めながら決定していくとしている。

○臨床検査事業
臨床検査事業の売上高は前年同期比52.7%増の39百万円、セグメント利益は同214.2%増の16百万円と増収増益となった。肝臓移植や造血幹細胞移植の分野への適用の広がりを見せている抗HLA抗体検査(スクリーニング及びシングル抗原同定検査)を主力として、日本全国の100施設以上の病院から検査を受注しており、堅調に推移している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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