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【経済】HSBC賃上げ凍結の余波、香港経済に大きなダメージも


金融大手グループのHSBC(5/HK)と傘下の恒生銀行(ハンセン銀行:11/HK)がこのほ
ど、賃金引き上げと新規採用を年内凍結する方針を示したことを受け、香港域内の景
気がさらに悪化する可能性が警戒されている。他の金融機関や他業種もHSBCの動きに
追随することで、消費マインドの低迷や就職難につながるとの見方からだ。一部の専
門家は、香港経済が今年「ゼロ成長」に陥る恐れもあると指摘。すでに苦戦を強いら
れている外食業などで、春節(旧正月)後に店舗の閉鎖が相次ぐとみている。
HSBCグループは今回、2017年末までに50億米ドル(約6050億円)のコストを削減
するための措置の一環として、全世界での賃上げと新規採用の凍結を決めた。うち香
港については、同グループが域内で最も大きな「雇用の受け皿」の一つとなっている
ことから、全体の賃金動向への影響が注目されている。HSBCの香港従業員は2万人と
域内銀行で最多を数え、恒生銀行の行員も8000人に上る。
香港浸会大学の麦萃才・副教授は、他の銀行も賃上げを凍結するか、引き上げて
も小幅にとどめる可能性があると予測。また、外食や観光といった業界に比べて、相
対的に堅調な金融業ですら賃上げを凍結したことは、香港経済の先行き不透明感を示
唆するものと危ぐした。国際通貨基金(IMF)は先月、香港の16年GDP予想成長率を
2.5%とするリポートを発表したばかりだが、麦副教授は「楽観的すぎる」との見
方。最悪のシナリオで、GDP成長率はゼロとなる恐れがあるとみている。域内の失業
率についても、現在の3.3%の水準から徐々に上昇していくと警戒した。
ただ、賃上げを行う方針を示している企業もゼロではない。不動産系コングロマ
リットの九龍倉集団(4/HK)は先月、市場平均並みの賃上げを行う方針を表明。新鴻基
地産発展(16/HK)もすでに、インフレ率などを考慮して賃金を見直したという。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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