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【市況】金融政策は実弾よりリップサービスが有効/ランチタイムコメント


 日経平均は続伸。32.38円高の17196.30円(出来高概算9億4000万株)で前場の取引を終えた。注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、3月の利上げ観測を後退させるほどの内容ではなかったことが嫌気され、NYダウは200ドルを超える下げとなった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比115円安の17055円だったこともあり、これにさや寄せする格好から売りが先行した。
 しかし、寄り付き直後に一時17000円を下回ったものの、その後は同水準での底堅さが意識されるなか、じりじりと下げ幅を縮める展開に。原油相場の落ち着きや為替市場での円安なども安心感につながるなか、前引けにかけてプラス圏を回復している。セクターでは食料品、ゴム製品、水産農林、情報通信、陸運、化学、空運などが上昇。一方で上海の弱い動きから鉄鋼、海運が冴えないほか、米アップルの下落影響から電気機器が冴えない。東証1部の騰落銘柄は、値上がり数が1000を超えており、全体の過半数を占めている。

 日経平均は、切り上がりをみせる5日線を支持線とした、底堅さがみられている。米FOMCでは3月利上げ観測が維持された一方で、日本では追加緩和期待が再燃しており、これが売り込みづらくさせている。甘利大臣の金銭疑惑問題の説明が行われるが、政治ショックを払拭させるため緩和政策を打ち出すのではとの思惑も働きやすいだろう。原油相場についても前日にサウジアラビアとロシアが、減産反対の姿勢を軟化させているとも伝えられており、落ち着きが見られる。
 そのため、いったんは売り方のポジション調整に伴う買戻しが指数を下支えする可能性があるだろう。もっとも、明日の日銀会合で緩和を打ち出すようだと、強い上昇をみせる可能性があるが、米国の3月利上げへの対抗策は考えづらく、瞬間的な上昇にとどまろう。それよりも、先日の欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁の「3月に開く次回の理事会で追加金融緩和を検討する」といった時期を指定した発言があれば、現状維持を嫌気しても瞬間で、その後は3月に向けて下がらない相場展開になるだろう。理想は米国の3月利上げ後の追加緩和であり、今はリップサービスが求められる。(村瀬智一)
《AK》

 提供:フィスコ

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