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【特集】インタースペース Research Memo(7):2016年9月期業績は増収・大幅な増益へと反転の見通し


■今後の見通し

(1) 2016年9月期業績見通し

インタースペース<2122>の2016年9月期の連結業績は売上高が前期比8.8%増の21,826百万円、営業利益が同72.2%増の600百万円、経常利益が同73.1%増の600百万円、当期純利益が同8.3%増の328百万円となる見通し。当期純利益の増益率が低くなっているが、これは税負担が正常化するため。売上高については引き続きインターネット広告事業がけん引する。利益面では増収効果による粗利益の増加に加えて、人件費や広告宣伝費の増加が一段落することやメディア運営事業の収益改善などが増益要因となる。今期の人員増については20~30名と前期の40名増から従来のペースに縮小する。また、広告宣伝費は前期並みの水準となる見通し。全体的には保守的な計画との印象が強い。

○インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比9%増収の212億円となる見通し。このうちアフィリエイト広告はeコマースや金融、サービスカテゴリーの広告需要が伸び、前期比7%増収を見込んでいる。ただ、同売上高は前期の第4四半期売上実績を4倍弱にした水準となっており、右肩上がりの成長が続いていることからすると、市場環境が大きく変化しない限りは計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

一方、SFAの売上高に関しては、携帯電話市場の伸びが見込みにくく、競争環境も厳しくなっていることから、今期は前期並みの水準でみている。その他広告サービスについては、新規事業となるネイティブアドに期待している。2015年8月にサービスを開始した「X-lift(クロスリフト)」は掲載メディアの対象記事を、ユーザーの行動解析データとともにデータベース化し、メディアサイト内に違和感のない広告(ネイティブアド)として配信する「コンテンツレコメンデーションプラットフォーム」となる。既に、自社メディアの「ママスタジアム」にも導入している。ネイティブ広告は従来のディスプレイ型広告に比べて、メディアと広告とのマッチング率が高く、ユーザーは広告を違和感なく情報として取得するため、広告主にとっても広告の効果を高めやすい施策として、需要が急速に拡大している。同社においてもネイティブアド市場を開拓し、アフィリエイト広告に次ぐ、収益柱に育てていきたい考えだ。

また、海外事業に関しては売上高で前期比3倍強となる90百万円となる見通し。今期はインドネシア、タイ、ベトナムに続いて、他の国も検討している。ただ、損益面では今期も80百万円程度の損失が続く見込み。損益分岐点となる売上規模はインドネシア、タイで年間1億円程度となっており、まだ人件費負担を吸収するまでには至っていない。タイでは前期末で17名、インドネシアでは22名の人員体制となっている。インドネシアは人件費が低いこともあり、順調にいけば今期中に単月ベースで黒字化する可能性がある。

海外でのアフィリエイト広告の売上粗利益率は競争環境が厳しくないこともあって、日本よりも10%程度高く、今後の売上成長とともに収益貢献が期待される。

○メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比9%減の630百万円を見込む。メディア広告については増収を見込んでいるものの、ソーシャルメディア・アプリ事業の縮小が続くため。営業利益については10百万円程度の黒字化を見込んでいる。既に前期の第4四半期に3百万円の利益を計上しており、十分達成可能な水準とみられる。

中心となるのは育児支援サイトで業界最大となる「ママスタジアム」を中心としたメディア広告収入となる。「ママスタジアム」の月間ユニークユーザー数は350万人だが、0?9歳児の子供を持つ世帯数は800万世帯あるため、まだユニークユーザー数の拡大余地は残されている。実際、10月のユニークユーザー数は400万人に達しており、今後も媒体価値の上昇とともに広告収入増が続くものと予想される。

また、新しいメディアの開発も進めている。ニュースキュレーションアプリの「Grouta」や犬・猫好きの人をターゲットとしたキュレーションアプリ「mofmo」、恋愛系キュレーションアプリ「KOIMEMO」などを今夏以降にリリースしている。開発費はほとんどかからないアプリであるため、ユニークユーザー数が伸びれば早期に収益化する可能性がある。また、これらメディアサイトを通じたネイティブアドの売上増も期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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