【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:中国景気不安、米ベージュブック、売り安心感
■株式相場見通し
予想レンジ:上限18000-下限16800円
来週は引き続き波乱の展開になりそうだ。2015年12月の米雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比29万2000人増(予想21万人程度)となった。雇用者数の伸びは好感されたものの、原油先物相場の下げが嫌気された。シカゴ日経225先物清算値は17280円と大阪の8日終値17690円から410円安の水準に下げている。週明けの海外が急激に切り返せれば波乱は回避される可能性はありそうだが、世界第2位の原油消費国である中国の景気不安に原油価格の30ドル割れが視野に入るなか、市場の関心は日経平均の大発会からの連続安記録といったところか。
中国では先週、株価の急な変動を防ぐために導入されたばかりの「サーキットブレーカー」制度が、逆に株価の下落を助長しているとして、急きょ停止された。引き続きこの制度の停止により、市場が落ち着きをみせてくるかが注目されよう。そのため、中国はボラティリティの高い状況が続くとみられ、しばらくは目が離せないであろう。一方で、中国経済の不透明感が強いなか、世界の金融市場を揺さぶっている中国が落ち着きを見せてくることになれば、東京市場もリバウンドが意識されてくる。
このところは中国市場の始まりと合わせて売り仕掛け的な流れが強まっていたように映る。そのため、ショートポジションはかなり積み上がっていると考えられ、中国次第では相当なリバウンドも意識されやすいだろう。目先は売り安心感の中でショート戦略が奏功しそうだが、ショートポジションの傾きには注意を払う必要がありそうだ。また、引き続き不安定な需給状況が続く可能性があるものの、一方で今回の世界株安の中では日銀の金融緩和期待が再燃しやすく、売り込みづらいところでもある。
なお、決算発表が本格化してくるが、足下の円高傾向によって下期の業績上振れ期待が後退している。ただし、その中で予想を上回る決算ともなれば、資金が集中しやすいため、先回り的な動きは限られるものの、内容を確認してからの決算を手掛かりとした物色は強まりやすいだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は、中国株式市場の混乱を受け、下値支持線として機能していた118円を明確に割り込んでいることから、市場参加者のセンチメントは弱気に傾いている。12月の米雇用統計は予想以上に強い内容だったにもかかわらず、原油価格下落が嫌気されて米国株は続落。雇用統計上振れに伴うドル買いは空振りに終わった。
ドル・円の下値メドとして、市場関係者は昨年8月につけた116円18銭が意識されると見ている。ただ、この水準は瞬間的につけた水準のため売買は少ない。節目として意識されるが、下値支持線としての効果は乏しいとの見方も。
今週発表される米国の主要経済指標が市場予想を下回った場合、リスク選好的なドル買いは一段と縮小する展開となりそうだ。15日に発表される12月の米鉱工業生産は前月との比較で減少率の低下が見込まれており、予想通りであればドル買い材料となる可能性はあるが、ドル・円相場を大きく押し上げるまでの影響力はないとみられる。
■来週の注目スケジュール
1月11日(月):米労働市場情勢指数、米北米国際自動車ショー、中資金調達総額など
1月12日(火):国際収支、景気ウォッチャー調査、オバマ大統領が一般教書演説など
1月13日(水):ウェアラブルEXPO、中貿易収支、米ベージュブックなど
1月14日(木):機械受注、米新規失業保険申請件数、ユーロ圏財務相会合など
1月15日(金):金融政策決定会合議事録、米小売売上高、米鉱工業生産指数など
《TM》
提供:フィスコ