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【特集】ティー・ワイ・オー<4358>---好調な受注環境など会社計画は保守的


ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』12月14日放送において、ティー・ワイ・オー<4358>を取り上げている。主な内容は以下の通り。


■事業概要
TV-CM の企画・制作を始め、ブランディングやWeb を中心としたデジタル広告、スマートフォンアプリなどあらゆる広告コンテンツの企画・制作を手掛けているクリエイティブエージェンシーである。好調な受注環境が続くなか、消費者の印象に残る数々のCM 制作を手掛けてきたクリエイティブ力と幅広い広告の制作に対応するワンストップソリューションを武器として業績を順調に拡大している。

■足元の業績に関して
2015 年7 月期決算は、売上高が前期比6.9% 増の28,393 百万円、営業利益が同10.0%増の1,884 百万円と、売上高は4 期連続の増収、営業利益も6 期連続の増益となり過去最高益を更新した。期初予想に対しても、売上高はほぼ計画どおり、各利益は計画を上回る着地となった。特に、注力する広告主直接取引が大きく拡大しており、同社の業績の伸びをけん引している。

■今期見通しに関して
2016 年7 月期の業績予想について同社は、中期経営計画のとおり、売上高を前期比12.7% 増の32,000 百万円、営業利益を同14.1% 増の2,150 百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。

事業別の売上高予想の開示はないが、好調な受注環境が続く中で、広告事業が同社の業績の伸びをけん引する前提となっているようだ。特に、K&L やインドネシア合弁会社の連結化による上乗せが期待できる広告主直接取引が大きく伸びる想定とみられる。利益面でも、増収による増益を見込んでいる。ただ、大幅な増収にも関わらず営業利益率が前期とほぼ横ばいと想定しているのは、K&L やインドネシア合弁会社による利益貢献を固めにみていることや、先行投資的な費用を保守的に反映させたことが理由と考えられる。

■中期経営計画に関して
同社は2014 年7 月期を初年度とした中期経営計画を進めている。広告代理店取引の継続強化に加えて、広告主直接取引の躍進、海外事業の新規展開によって、2017 年7 月期の売上高40,000 百万円、営業利益2,700 百万円を目標としており、3 年間の平均成長率では売上高が年率14.6%、営業利益が同16.4% と高い伸びを見込んでいる。特に、成長分野と位置付けている広告主直接取引は、従来のTV-CM 制作やWeb 制作における優位性や顧客接点を活かしながら、あらゆる広告制作市場をターゲットとして同社グループの成長に取り込んでいく戦略である。加えて、ASEAN 及びインドを中心とした海外展開も戦略的M&A の実現に向けて準備を進めてきた。

その結果、2015 年3 月に海外事業の統括管理会社をシンガポールに設立すると、2015年7 月にはアジアにおける戦略的M&A の第1 段階として、インドネシアに合弁会社(PTTYO FIRST EDITION) を立ち上げ、インドネシアの国内資本系では最大規模の広告会社(TheFirst Edition) グループから事業を継承して活動をスタートさせた。また、2015 年8 月にはグラフィック領域に強みがあり、アジア地域を中心とした海外にもネットワークを持つ( 株) ケー・アンド・エル(以下、K&L) を連結子会社化しており、足元で好調な業績に加えて、同社の成長戦略も順調に進展しているとみてよいだろう。

■株主還元策に関して
2015 年7 月期は、2014 年7 月期の上場記念配を除くと、実質的に前期比2 円増配となる1 株当たり年5 円配(配当性向27.8%) を実施した。2016 年7 月期についても1 株当り年5 円配(配当性向26.0%) を予定している。同社は、中期経営計画の中で、財務基盤が強化されてきたことを理由として、企業の所有者たる株主への還元を重視する方針を打ち出しており、配当性向25% 以上を目標に掲げている。したがって、同社の中期経営計画の実現を前提にすれば、配当性向の改善、及び利益成長に伴う増配余地は十分にあると期待できる。

また、期末の配当と合わせ、中間期における株主還元策として株主優待制度も継続実施している。2015 年7 月期(2015 年1 月31 日基準) の株主優待は、所有株数に応じたQUO カードの贈呈に加えて、抽選3 組に対してオリジナルミュージックビデオを制作する「株主様!あなたがアーティスト!」を実施した。同社は、同社ならではのクリエイティブ性のある株主優待を継続的に実施する方針である。

■フィスコとしての見解
弊社では、好調な受注環境に加え、インドネシア子会社やK&L の連結化による上乗せを考慮すると、同社予想は保守的な水準であるとみている。したがって、業績の上振れの可能性を含めて、足元の業績推移に注意するとともに、来期(2017 年6 月期) 以降の成長に向けた取り組みなど、成長戦略の進捗にも注目していきたい。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30~14:45放送

《TM》

 提供:フィスコ

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