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【特集】キトー Research Memo(6):通期業績は増収増益の期初予想を据え置く


■業績動向

(2) 2016年3月期通期予想

キトー<6409>は2016年3月期通期の業績を、売上高で60,000百万円(前期比20.1%増)、営業利益で5,500百万円(同62.0%増)、経常利益で5,000百万円(同46.0%増)、当期純利益で3,000百万円(同48.0%増)と予想しており、これは期初の予想と変わっていない。しかし同社は第2四半期決算発表後に、「この予想は期初にはかなり余裕を持って達成可能と見ていたが、徐々にその余裕が後退し、現時点ではこの予想達成がかなり高い目標になっている」と述べている。

各地域別の市場環境の前提及び主な施策は以下のようになっている。

・日 本: 国内は民間設備投資に加えてインフラ整備や建築土木の需要も動きが出始めており引き続き好調が継続すると見ている。同社は売上高を12,800百万円(前期比9.4%増)と期初の見込み(12,300百万円)を上回ると予想している。施策としては、クレーンビルダーとの連携を強化し、ワイヤーロープホイストの販路を拡大するほか、エンターテイメント(コンサートホール等)向けに新製品のシアターホイストを投入する。

・米 州: 米州は不透明感が増している。特にピアレス社の状況を予想することが難しいようだ。ピアレス社製品の向け先は、エネルギー関連に加えて政府向け、タイヤ向けなど今までの同社が持っていなかった分野が数多くあり、売上げのブレ(ボラティリティ)が大きくなっているためだ。例えば、政府予算の動向や、タイヤ向け(雪道用)などは天候に大きく左右される。そのため、同社ではピアレス社の下半期の業績は厳しくなると見ている。しかしピアレス社以外は前期比でプラスになると予想しており、メキシコ、中南米については引き続き需要拡大を見込んでいる。その結果、売上高は30,500百万円(同39.3%増)を見込んでいる。製品別の施策では、シアターホイスト(照明及び音響など舞台装置の巻き上げ下げ)、ピアレス社のクサリを使った吊り具など製品の品ぞろえを拡充しシェアの拡大を目指す。さらに一部製品を現地生産に切り替えてサプライチェーンの最適化を図る。

・中 国: 引き続き景気の減速傾向が続くと見ており、景気回復には不透明感が残る。しかしシェアアップにより売上拡大を図り現地通貨ベースでの売上高は横這いから微減を予想しているが、為替の影響もあり円ベースでの売上高は8,300百万円(同1.2%増)を予想している。期初予想の8,900百万円(同8.6%増)から若干下方修正された。コスト管理の徹底による利益水準の確保と、現地生産の拡大、製品強化により更なるシェア拡大を目指す。

・アジア: 中国経済の減速がアジア経済に影響し、設備投資の成長が鈍化する公算が強く、引き続き現地のマクロ経済の動向を注視していく。クレーンのメンテナンス等のサービス事業及びホイスト販売などを強化していく。また利益及び案件内容の管理を引き続き徹底して行い、収益性の改善を図る。売上高よりも利益を優先する方針だ。このような状況から売上高は5,700百万円(同0.4%増)を予想している。

・欧州・その他:地域別には上半期と同様な傾向が続き、南欧は比較的順調ながら北欧は低迷が続く見込み。売上高は、欧州1,900百万円(同4.2%増)、その他800百万円(同18.0%増)を予想している。

主要な為替レートの前提は、USドル115.0円(前期平均109.9円)、カナダドル95.0円(同96.5円)、ユーロ130.0円(同138.8円)、人民元18.8円(同17.2円)を予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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