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2015年12月07日16時12分

【特集】品川リフラ Research Memo(5):鉄鋼大手2社は、今中期計画の国内設備投資を前計画比約3割増に


■会社概要

(4)品川リフラクトリーズ<5351>の事業環境

日本の年間粗鋼生産は、2007年に1億2,020万トンでピークを打った。2008年9月のリーマン・ショックに端を発した世界的金融危機とその後の円高の進行などで、2009年の生産量は前年比26.3%減の8,753万トンへ減少した。しかし、2010年には1億トンの大台を回復し、2014年は1億1,066万トンとピーク比7.9%減の水準まで戻した。

世界の粗鋼生産は、中国がけん引し拡大した。世界粗鋼生産量における日本のシェアは、2000年の12.5%から下落の一途をたどり、2014年には6.8%へ低下した。一方、中国のシェアは、2000年の15.1%から2014年には50.3%と過半数を占めた。世界の粗鋼生産量は、2007年の13億4,326万トンから2014年に16億3,696万トンと21.4%増加した。この間、中国の年間生産量が4億8,971万トンから8億2,270万トンへと68.0%増えたが、中国以外の地域の生産量は8億5,841万トンから8億1,426万トンへ5.1%減少した。

中国政府は、リーマン・ショック時の金融危機克服のため2010年末までの2年間に大型景気刺激策を実施した。内需を拡大し、雇用の安定化を図るため、総額4兆元(約57兆円)の財政支出を決めた。これにより、中国の経済成長率は、2007年の14.2%から2008年に9.6%、2009年には9.2%へ下落したものの、2010年には10.4%の高成長を遂げた。ちなみに、日本の経済成長率は、2007年2.2%、2008年マイナス1.0%、2009年マイナス5.5%であった。しかし、中国の経済成長率は、2012年以降は7%台に低下してきており、IMF(国際通貨基金)の予想では2015年は6.8%の成長が見込まれている。今10月に発表された2015年の世界成長率の予想は、3.1%と6ヶ月前の予想に比べ0.4ポイント下方修正された。コモディティ価格の急落を理由に、新興国の見通しが悪化した。中国の予想は据え置かれた。

中国では、大気汚染防止のための環境対策の一環として老朽化した製鉄所の閉鎖などを進めている。しかし、生産能力の増強がそれを上回り、過剰設備に陥っている。稼働率維持のために、輸出圧力が高まっている。

2014年の世界鉄鋼メーカーの粗鋼生産量による上位50社のランキングでは、新日鐵住金が2位(生産量49.3百万トン)、JFEスチールが9位(同31.4百万トン)と日本からは2社が入った。2013年に47位だった神戸製鋼所(7.5百万トン)は、2014年にトップ50から外れた。1位のアルセロール・ミッタル(ルクセンブルク)は、98.1百万トンと2位の新日鐵住金を大きくリードしている。3位、4位は、中国企業が占めた。中国企業は、トップ50のうち、27社と多い。

○高炉メーカーの中期経営計画
JFEホールディングスと新日鐵住金は、2015年度から2017年度までの中期経営計画を発表した。内需に関しては、企業収益の好転、国土強靭化計画、オリンピック・パラリンピック需要により、堅調に推移するとみている。ただし、人口減少、製造業の海外移転、財政問題に起因する公共投資の減少という枠組が変わらないため、2020年以降は減少すると予想している。一方、海外市場は、中国・韓国メーカーの供給圧力が強く、当面は供給過剰状態が継続すると予想している。中長期的には、インドやASEANなどの新興国の社会インフラ整備や省エネルギー、環境対応のニーズが拡大するとみている。

a)国内設備投資計画
鉄鋼メーカーは、生産設備の更新に積極的だ。古い設備のままでは、中国等の海外メーカーに対し競争優位性を維持できなくなる。JFEスチールは、現中期経営計画(2015~2017年度)における国内設備投資額を前中期経営計画と比べて35%増の650,000百万円とした。国内製造基盤の整備を継続的に実施することにより、世界トップクラスの製造実力を維持・向上する。一方、新日鐵住金は、国内製造拠点が将来にわたり製鉄事業のマザーミルの役割が果たせるよう、「設備」と「人」の両面で強化策を推進する。2017年度までの3ヶ年中期経営計画の国内設備投資額を約1,350,000百万円、年間450,000百万円程度とする。前中期経営計画(2013~2014年度)に比べ、年間100,000百万円程度(29%増)の上積みになる。

b)海外事業の展開
JFEスチールは、アジアを主戦場として成長投資をする計画で、自動車、エネルギー、インフラ・建材を重点3分野としている。自動車は、グローバル調達への対応を徹底するため、中国、タイ、インドネシア、インド、米国が重点地域となる。アジアでは、タイや中国に加えて、インドやインドネシアでも数量拡大や新規設備の円滑な立ち上げを目指す。エネルギー関連は、中国やシンガポールで活動しているが、現中期経営計画では米国とUAE(アラブ首長国連邦)に注力する。インフラ・建材は、アジアにターゲットを絞って事業展開をしており、重点地域はベトナムになる。新日鐵住金は、2017年度までの3ヶ年で海外拠点出荷量を2014年度比2割増とする計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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