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【経済】NYの視点:ECBバズーカ小規模にとどまる、5人のメンバーが追加緩和に反対


欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場予想通り、中銀預金金利の下限を10ベーシスポイント引き下げマイナス0.3%としたほか、資産購入の対象を拡大、元本支払い額の再投資などを含む追加緩和策を発表した。しかし、中銀預金金利の利下げ幅が10ベーシスポイントにとどまったほか、一部では拡大が期待されていた量的緩和(QE)でも購入規模を現行の各月600億ユーロにとどめ、期限を延長したものの、従来の2016年9月から6か月の延長にとどめた。

ドラギ総裁は2011年の欧州債務危機以降、「ECB will do whatever it takes(ECBはなんでも行う)」と断固とした方針を示すと同時に、期待を上回る規模の刺激策を発表。金融市場を助けてきた。このため、今回の定例理事会においてもサプライズを期待する投資家も少なくなかった。このため、今回発表された追加緩和の規模への失望感はひときわ大きかった。

ドラギ総裁は会合後の記者会見で、本日の会合の決定が全会一致でなかったことも明らかにした。ブルームバーグの報道によると、独連銀のバイトマン総裁、エストニア中央銀行のハンソン総裁、オランダ中銀のクノット総裁、ラトビア中銀のリムシェービッチ総裁、ラウテンシュレーガーECB理事、全25メンバーのうち5分の1にあたる5人のメンバーが追加緩和に反対したと報じた。5人のメンバーの反対の中、ドラギ総裁は「最善を尽くした結果」ともとれる。本日の決定を受けて、ユーロは上昇。欧州の株式、債券相場は大幅に下落した。今後、中長期的にユーロが再び上昇に転じた場合、域内輸出や回復に悪影響を与える。今回の市場の反応を受けて、反対した5人のメンバーが次回会合で、見解を変えられるかどうかに注目される。

《NO》

 提供:フィスコ

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