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【経済】NYの視点:米11月ISM製造業はリセッションの水準へ、利上げ観測根強い


民間ISM(米供給管理協会)が発表した11月ISM製造業景況指数は48.6と、予想外に活動の収縮を示す50割れとなった。50割れは2012年12月以降ほぼ3年ぶりで、米国が景気後退に陥っていた2009年6月以来で最低となった。主要項目である新規受注や生産は2012年8月来で最低の水準に落ち込んだほか、仕入価格も35.5と10月の39.0からさらに低下。原材料価格の下落が影響し、13か月連続で50割れとなった。

唯一の明るい材料は雇用の上昇。51.3と、10月の47.6から上昇し、4月来の高水準となった。ISM製造業調査委員会の委員長を務めるブラドリーJ.ホルコム氏は11月の製造業の鈍化は広範に及ぶと指摘したものの、製造業の低迷は一時的で雇用の増加が受注増にいずれつながると楽観的な見方を維持している。

ISMが初めてこの水準まで低下したのは2008年初旬だが、米連邦準備制度理事会(FRB)は2008年12月に、量的緩和(QE)第1弾を実施。2010年3月まで継続した。次に50を割り込んだ2012年9月には量的緩和(QE)第3弾を導入している。本年の12月の利上げが果たして適切かどうかに懐疑的見方も浮上した。50割れで利上げを実施したのは1981年。

一方で、製造業の低迷はドル高や海外の景気低迷の影響が大きく国内経済は依然力強い。連邦準備制度理事会(FRB)の見通しに大きな変化は予想されないとして、利上げ観測は根強い。金利先物市場での12月の利上げ確率はISM発表前の76%近辺から低下したものの依然70%と、高止まりしている。

■11月ISM製造業(カッコ内は10月)
景気指数:48.6(50.1)
新規受注:48.9(52.9)
生産:49.2(52.9)
雇用:51.3(47.6)
入荷遅延:50.6(50.4)
在庫:43.0(46.5)
顧客在庫:50.5(51.0)
仕入価格:35.5(39.0)
受注残:43.0(42.5)
輸出:47.5(47.5)
輸入:49.0(47.0)

《NO》

 提供:フィスコ

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