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【通貨】欧米為替見通し:ロシアルーブルVSトルコリラ、長期的にはリラ売りの可能性


24日のトルコによるロシア機撃墜報道を受け、金融市場では16世紀から数次にわたる露土戦争が連想され、ロシアルーブルとトルコリラが大きく売られた。今後の原油の供給過剰を考慮するとルーブル売りが続きそうだが、国際社会での舵取りを間違えるとリラは長期的に売られる可能性がある。

ロシアルーブルとトルコリラは、ともに新興国通貨に位置づけられ、米年内利上げスタンスや中国市場の混乱などの影響から対ドルでは下落トレンドが続いている。ルーブルは今年5月に原油価格の回復を背景に48.14ルーブルまで上昇したが、その後は値を下げており、1月30日に付けた年初来安値71.80ルーブルが視野に入っている。

また、トルコリラも今年に入って売りが強まり、9月24日には史上最安値を更新し、3.08リラまで下落。9月の米利上げ先送りで下げ渋る展開となったが、なお安値圏での推移が続く。

両通貨は原油価格の動向次第で明暗が分かれる。ロシア機撃墜でリスク回避の動きが広がり、原油価格が上昇した際には、ともに大きく売られた。原油価格は中長期的には供給過剰懸念を背景に下落が見込まれるため、原油安が国内経済の追い風となるトルコにはポジティブなインパクトだが、ルーブルにとってはネガティブな材料だ。

原油市場を媒介すると、ルーブル売り、リラ買いとなろうが、国際政治におけるテロとの戦いなどを考慮すると、リラ売りの材料が顕著になるのではないか。13日(日本時間14日早朝)にパリで発生した同時多発テロ事件以降、首謀した過激派組織「イスラム国」の壊滅のスタンスが欧州では高まり、足元では国際社会がロシア主導のイスラム国攻撃に同調する傾向に向かいつつあるようだ。

こうした流れのなかで、「イスラム国」産原油をイラクに移送してトルコやイランの業者に転売し、その後トルコやイランの業者は自国に密輸するなど、トルコが「イスラム国」に資金援助しているとの疑いが持たれている。プーチン大統領もロシア機撃墜後、トルコへの非難材料としてこの点を突き始めた。

今後、トルコが「テロ支援国家」と印象づけられれば、トルコは貿易取引や開発援助の禁止などの制裁を受ける事態に発展する可能性もないとは言い切れない。国際政治の舞台ではプーチン、エルドアン両大統領の政治家としての力量が今後両通貨に直接影響しそうだ。

【今日の欧米市場の予定】

・18:00 ユーロ圏・10月マネーサプライM3(前年比予想:+4.9%、9月:+4.9%)
・18:30 南ア・10月生産者物価指数(前年比予想:+3.8%、9月:+3.6%)
・21:00 独・12月GFK消費者信頼感指数(予想:9.2、11月:9.4)
・オランド仏大統領がプーチン・ロシア大統領と会談予定
・米国市場は感謝祭祝日のため休場

《SY》

 提供:フィスコ

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